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「ワタシがやるね。」

後方から聞き慣れた声がした。

───フェイタンっ!!

そこにはフェイタンが立っていた。隣にはシズクがいる。

「ど、どういうこと?」

ルカが聞くと
「このイベント参加しようと思てルカに電話したけど出なかたから暇してたシズク誘ただけね。……シャル、後で覚悟しておくね。」

そう答えてシャルナークをギロリと睨んだ。

「ちょっと、勘弁してよ!フェイタンだってシズク誘ったんだろ?お互い様でしょ。」

「はは、何言てるか、ワタシはシズクと手を繋ごうなんて思てないね。お前ルカが断れないのわかてて手出しただろ。」

フェイタンが言い返すとシャルナークがうっ、と詰まる。

「えーと、突然の乱入ですが、そちらの赤毛の彼女の本命は黒尽くめの彼ということでよろしいんでしょうか?」


司会者が困惑した様に言うとフェイタンは鼻で笑って
「当たり前ね。お前今のやり取り聞いてなかたのか?」
と答えた。

会場が思わぬ盛り上がり見せた。ただでさえルカとシャルナークは容姿が目立つ、そこに更にある意味印象に残りやすいフェイタンが登場、しかも三角関係らしい、と周りの人間は判断したのだ。

無論そんな俗物らしい関係性はこの三人には無いが、フェイタンとしてはルカの手を握った事だけが気になったのだろう。

しかしすぐにルカを見ると、
「ルカ、早速やるね。」
と言ってシャルナークの手に握られている碧鶴を取る。

「えっと、うん、うん!そうだね!やろう!」

困惑気味だったルカはフェイタンが思ったより怒っていなくて安心した。紅鶴を再び握りしめる。

「じゃ、じゃ俺は見学に戻ろうかな。」

シャルナークはソソクサとシズクの隣へ移動する。

「シャルナーク、災難だったね。」

シズクが労うとシャルナークは弱々しく笑って、
「ホントにね。まさかフェイタンが来るとは思わなかった。」
と答えた。

「うん、あたしも誘われるとは思って無かったよ。フェイタンて自分の好きな物の為にはすごい動くね。」

「まぁ、ルカの事にしろ太刀の事にしろそうだね。まさか刀にそんなに興味があるとは知らなかったけど。」

二人でそんな会話をしながら壇上で対峙する二人を見た。

明らかにこれまでの全てのカップルとは違った空気だった。先程まで三角関係にニヤニヤと笑っていた奴等も司会者も思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
その位、異質な空気が流れていた。

「始めっ!!」


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