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「ようこそみなさん、お集まり頂きました!本日は有名刀鍛冶屋ムーラ・マーサによる二刀一対の太刀、紅鶴、碧鶴の適任者を選抜する一大イベントです!」

司会者の声がして、そのあとその太刀にまつわる様々な話が始まる。この太刀はムーラ・マーサが共に生きることが叶わなかったある女性への想いを込めて作ったということ、その為互いの息が合わないと込められた念は発動せず、その辺りにある太刀と何も変わらない、ということなどを15分ほどかけて話した。

「ルカとフェイタンだったら息ピッタリだったかもね!」

シャルナークが言うとルカはまた照れ臭そうに笑う。

「でも、精一杯やろうね!」

「やるからにはね。」

それから順番に広い壇上に上がり、手合いをしていくが、いずれも念が発動することはなかった。

「はい、残念でしたね。次のカップルどうぞー!」

ついにルカ達が呼ばれ壇上に上がる。

「おおっ!これは美男美女カップルですね!さて二人の愛は本物か?」

司会者の言葉に思わず目を見開くルカ。

───息が合えば良いんだよね、息が合えば。よし。

ルカは瞳を濁らせて行く。無駄な感情を取り払ったこの状態ならシャルナークだとかフェイタンだとかを意識しないで手合いが出来ると判断したのだ。
シャルナークもそれがすぐにわかり、少しだけ残念な気分になったが、素直に受け入れて刀を握った。

紅鶴はルカが、碧鶴はシャルナークが握る。

「始めっ!」

号令が掛かって先ずは二人、ノブナガやフェイタンの刀の扱いを思い出しながら切っ先を合わせた。

次の瞬間には凄まじい勢いでキン、キンと音を響かせながら打ち合いが始まった。

「おおーーーこれは凄いぞ!念が発動する勢いですっ!!」

確かに二人の打ち合いは息こそピッタリあっていたが、やはり念は発動しない。

技術がすば抜けていただけで息が合っていると言うわけではなかった様だ。
所定の時間が過ぎても発動しなかった為止められてしまう。

「残念〜!息がピッタリの様に見えたが、ダメでしたー!二人の愛は本物では無かったようです。」


司会者の言葉に太刀を扱う手を止めたルカは灰色の瞳のまま答える。

「本物じゃないよ。私、大切な人いるから。」

「おやおやーーまさかの本命暴露か?」

「ちょ、ルカ!」

シャルナークが声を掛けるとルカは瞳を翠に戻して

「あっ!ごめん!つい……」

とシャルナークに謝る。
「まーいいや、最悪いつも通りやるからさ。」

いつも通り、つまり暴挙に出るということだ。

「いやぁ彼氏さん、残念でしたねー。彼女の本命の方がこの場にいればもしかしたら、ということもありましたねー。」

本当のカップルじゃないハンターが多いことなどお見通しなのだろう。司会者からそう放たれたその時……


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