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早めにヨークシンに着いてルカを待っていたシャルナークはアジトで瓦礫に座り雑誌を読んでいた。

───あー、この仕事、フェイタンに暴露たら絶対半殺しだよなあ……俺が。でもハンター限定だしなぁ。二人一組ハンターカップル限定って、こんな依頼する方もする方だけど、聞いた瞬間ルカの顔浮かんじゃったもんなぁ……!

ブツブツと声が出ていたのだろうか、

「シャル、何ブツブツ言ってるの?」

と頭上からルカの声が掛かって目を見開く。

「うわっ!ビックリした!頭の中から出て来たのかと思った!ってか俺声に出てた?」

「うん、フェイタンがどうとか、半殺しがどうとか。」

ルカが言うとシャルナークはへらへらと何時もの調子で笑って
「あはははは、んー、いやね、ルカに頼みたい仕事、これなんだよ。」
と言いながら読んでいた雑誌を見せる。

「へぇー、ちょっと借りるね。」

ルカはしばらく目を通していたが、顔をあげて目を輝かせる。

「面白そうだね!カップルでかつハンターじゃないと入れないイベントかぁ。そこでなにをすればいいの?」

思ったよりもルカは乗り気である。シャルナークの話ではそこで配布される予定の情報誌の元データの入手が依頼内容らしい。
ただ情報誌を貰うだけなら男女二人組であれば誰でもできるが、その元データの入手となると、内部に潜り込む必要がある。

まずは会場まで行き、現場の警備員に扮してデータ管理をしている統括部に潜り込む、そこで扮装を解いた後は雇われの『ゴシップハンター』を装い、データの入手をする、という段取りだそうだ。

元々雇われていたゴシップハンターは既に強力な暗殺者によって始末されている。

「その情報誌の元データに何か重要な事が書いてあるんだね?」

「ご明察。ついでにそれも見てやろうと思ってさ。ただ、ルカには俺の恋人の振りして貰うことになるんだけど、大丈夫?」

「大丈夫だよ!振りでしょ?だったら大丈夫!振り位いくらでもやるよ!振りなだけだもんね。」

「あんまり振り、振り、言われるとそれはそれで悲しいんだけど……。」

シャルナークがガクッと項垂れる。

「えっ!?あっ、ごめん!まだあわよくば、続いてたの?」

「まあね。だってやっぱりルカってすごく魅力的だし。」

サラッと言う辺りフェイタンとは大違いだ。

「や、やめてよ!今から恋人の振りするのに恥ずかしいよ。」

「ちょっ、それ言ったらこっちも照れるんだけど!」

ワイワイキャーキャー、シャルナークとはフェイタンとは違った相性があるのだろう。
ルカはあわよくばを続けているシャルナークが全く嫌いでは無かったし、一緒にいることも楽しいと素直に思っている。
フェイタンといる時のようなドキドキとした高鳴りは無いが、そう、純粋に、楽しいのだ。

「あっははは……あー、面白いね。やっぱりシャルは凄いね。人を楽しませるのが凄く上手。」

「それは意識してないんだけどねー。まぁ良いや、それじゃ早速行こうか。」

「うんっ!」


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