マチとルカは待ち合わせしていたザバン市に戻ってきていた。
「マチはこの後どうするの?」
「あたしはこの後また別の仕事いれたからそっちに向かう。あんたは?」
「うーん、私はフェイタン明日仕事って言ってたから今日は帰るよ。」
明日フェイタンがいないから今日の内に少しでも多くの時間をフェイタンと過ごしたい、ということだろう。
「はいはい、もう、ご馳走様!早く帰ってやんな。」
というマチの呆れた声に自分がのろけていたことに気がついて顔を赤くした。
「ご、ごめん…」
「いいって、それよりルカ、あんた結構ダメージ蓄積してるだろうから、安静にしてるのよ。」
「うん!ありがとう!また何か手伝えることあったら言ってね!できる限り行くから。」
2人は手を振りあって解散した。
マチは遠ざかるルカの姿を眺めながら
───ホント、ルカといるとリズムが狂うよ。こっちまで優しい気持になれる。
いつだったかヒソカがルカを気に入らない男は少ない、と言っていたが女も然りなのではないか、と思う。
物忘れの激しいあのシズクでさえルカの事は一発で覚えた。
もしルカを嫌う人間がいるとしたらそれはフェイタンの事が好きな人間位なものだろう。
くだらない嫉妬心で嫌われる事はあるかもしれないが、それ以外で嫌いになる要素はほとんどない。
非の打ち所がないとまでは言わないが、感情の豊かなルカは明るく、優しく、時に厳しく、いつも何かに一生懸命だ。
それでいて、例の一件以来ルカはクモとしての非道さも備えていた。
賞金首で賞金首ハンター、という奴は他にもいるらしいが、ここまで賞金首らしくない賞金首は他にはいないだろう。
酸いも甘いもその身で全て体験したからこそ手に入れる事が出来た強さだ。
それに元々ルカは正義、なんて事を考えて行動しているわけではない事にもマチは気がついていた。
必要悪と、必要善、ああ見えて結構本能のままに動いている。それが時にネガティブで周りに心配をかける事はあるが、本人はそれも自覚していて、そうならないよう誰よりも努力をしている事も知っている。
そんな彼女を嫌いになる様な者など少なくともクモにはいない。
マチは正直、フェイタンとルカが羨ましかった。
言わば2人は幼い頃から相思相愛、離れていた時期があったからこそ2人の愛はあるのだと思った。
マチがいくらクロロを想っても、フェイタンとルカの様にはなれないし、それを望んでもいけないと思っていた。
溜息をつきながら首を振ると、次の仕事に向かった。
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