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否定は出来ない。

シズクは恋心ではなくて尊敬という意味でクロロが好きなのかもしれないが、自分とパクノダは少なからず恋慕があるかもしれない。

だからパクノダは命を捨て、クロロを生かせる方法を取ったのだろう。

小さい頃から2人ともその背を追っていたから。

「ま、まぁとにかく、もう話は終わり!ほら、前見な。あそこに王がいるらしいからさっさと殺して、で大臣から金もらって、おしまい!」

矢継ぎ早に話すマチが可愛くて思わず笑うと後で覚悟しておけ、と怒られた。




「どこから乗り込むの?」

話を聞いていなかったルカがヒソカに聞くと、ヒソカはルカ達よりも大分前からこの戦地にいたらしく、城内を熟知しているらしかった。

「ここだよ。」

とヒソカが指をさしたのは庭園の隅にある花壇。
「ここから?どうやって?」

「まあ、ルカそう急かさないでくれよ。」

ヒソカは相変わらずいちいちネットリとした喋りで花壇を囲っていたレンガを一つ動かす。そしてその下についていた赤いボタンを押したのだ。するとすぐ隣にあった壁が静かに開いて行った。

「隠し扉か!へー!金持ちはやる事が違うね!」

と、言うルカをみながらマチもヒソカもリオーネの方がもっと凄い仕掛けだらけだったけどね、と当時の事を思い出していた。

とにもかくにも3人は城内に入り込む。

内戦中だというのにも関わらず、城内は驚くほど静まり返っていた。

「ヒソカ、凄い静かだけど、本当に王様って人、いるの?」

「いるさ。王様だからね、戦地に赴いたりはしないのさ。高みの見物だよ。大臣側の兵士の死体をおかずにディナーをしてる様なものだからねぇ。」
と笑いながら物騒なことを言っていた。

「とにかく、その王ってのは?あんたどこにいるのかわかってんでしょ?」

マチがさっさと案内しろ、と促すと、ヒソカは、勿論それも承知な様で迷う事なく城の中心にある階段を上がっていく。

そしてロココ調の巨大な観音開きの扉を開けるとそこには大層な椅子にだらしなく腰をかけた男がいた。


あいつなのか?というようにルカとマチが顔を見合わせる。

するとヒソカが胸に手を当てて頭を下げた。

「ご機嫌麗しゅう。王様。」
とルカ達からすればバカにしているようにしか聞こえないセリフを吐いたが、王はヒソカの顔をみるなりだらしない顔を更にだらしなく崩すと
「おお、ヒソカか。どうじゃ?戦況は。」
と呑気に聞いた。

王の周りには一応護衛らしき兵士が6人程ついていた。

「戦況は王様側が圧倒的有利だねぇ。」
くっくっ…と笑ったのは、それが今から逆転するからだろう。

「そうか、このまま押し切れるな。ところで、その見目麗しい女性達はどなたかな?」

王の興味はルカとマチに向く。

「ああ、この2人はボクの、とっても大事なお友達さ。」


「ふむ、そうなのか、2人とも良い器量よの。どうじゃ?城に仕えんか?」

───うわぁ…なに、この王様。これじゃ確かに謀反おこされるよね。

ルカは引きつった笑顔で居たが、マチは明らかに嫌そうな顔をしてヒソカに言った。

「類は友を呼ぶね。」

「ん?どういう意味だい?」

「気持悪い者は気持悪い者を呼ぶってことでしょ?ヒソカと似てるとこあるじゃない。王様。」

ルカの吐く毒にヒソカがガクッとうな垂れる。

「あははは、相変わらずルカはヒソカに厳しいね。」

マチが笑ってからキッと王を睨むと言った。

「今から戦況は逆転するんだよ!」


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