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ルカは施設長を見る。

マチの提示した1人につき1000万は人数の多さを考えたら妥当だろう。しかし、改竄後の50万ではあまりにも安すぎる。そしてそれはこの国の王側にとっての兵士の価値はその程度ということだ。独裁である事の影響はこんな所にも出ているのだ。

兵士達はおそらく王に忠誠を誓っているのではなく、国に誓っている。しかしそれは大臣だって同じではないのか?

思考を巡らせながらとりあえず兵士に声を掛ける。

「大丈夫ですか?」

「ああ…生きていた。けど、俺の目の前で友達が死んだんだ…」

誰も聞いていないのだが、勝手に話し出したので放っておく。

───怪我自体は右腕と…下腹部かな。

「少し、痛みを和らげますね。」

と言って手元に緑のオーラ球を作る。
それをホイ、と投げる。球は兵士の身体で分裂して行く。

───……ぅう…。これじゃ何人も治せないなぁ…。

自分の痛みへの限界が来たら終了だ。

そうやってルカは順番に少しずつ痛みを緩和する事にした。

治癒ではなく、緩和程度に抑えたのが良かったのか多くの兵士は動ける位にはなっていた。

逆にルカは壁に寄りかかってぐったりしていた。

「平気?」

マチが心配そうに声を掛けた。

「あ、マチも終わったの?」

「大体ね、あんた、無理したね。」

「ははは…まあ、そうかも。でも大丈夫。」

もちろんルカが無理をするであろう事はマチは想定済み。申し訳ないと思いながらもルカはこの力を頼りにされると喜ぶ事も知っていた。

怪我の軽い者は既に元気に飯などを食っている。

そんな兵士の様子を見ながらルカはマチに聞いた。

「この内紛ってさ、王様だけが問題なような気がするんだけど…」

「あんた、まだ戦争自体どうにかしようと思ってんの?」

「うん、そしたらさ、大臣の方はお金くれそうだし。」

というルカの言葉にマチは
「確かに…」
と頷く。

マチもやはりルカと同じ様に兵士からちょこちょこ話を聞かされていたのだが、特に王を信じていると言う様な発言はなかったのだという。やはり王ではなく、ここの兵士達は愛国心の塊なのだ。
そしてそれで言ったら国を良くしようとする大臣も同じ事。


「それじゃあ、やる?」

「いいだろう。」

マチがにっ、と笑う。その時施設の入り口から不気味な笑い声が聞こえた。

「くっくっくっ…面白そうだね。ボクも混ぜてよ。」

2人が視線を向ける。


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