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マチとお仕事

『ルカ明後日暇?』

というメールを貰ったのが一昨日の事。

もちろん断る理由はどこにもないルカはマチと仕事があるということだけフェイタンに伝えて、今はマチとの待ち合わせにザバン市に来ていた。

───まだ、きてないなぁ。

待ち合わせはザバン市観光案内の看板の前。約束の時間は少し過ぎている。

何かあったのだろうか、と心配性なルカはメールを投げようと携帯を取り出す。

他にも待ち合わせの人間が多いこの場所はとても賑やかだ。

「お待たせ。」

声に顔をあげる。ところがそこには知らない顔があった。しかも男だ。

「はい?」

「えっ?あれ、君でしょ?これ。」

男が携帯の画面を見せる。そこには出会い系サイトの画像と出会いを求めるメール。
特徴に確かに赤毛、と書いてあった。

「いや、人違いです…私女の人待ってるんで…あっ、あの人じゃないですか?ほら、髪赤茶ですよ。」

ルカの指差した先には確かにサイトに書いてある特徴に一致した女性がいた。キョロキョロと誰かを探しているようだ。男は女性の顔をみると、うわ、と一言言ってルカに向き直る。

「い、いや。あれは違うよ。君だよ。」

───こいつ…明らかに相手の顔を見て言ってる。

「失礼ですよ。」

あーだこーだ言ってなかなか引かない。
───早くマチ来ないかな。

なんて思っていたら、いつの間にか男に手を掴まれていた。

「ちょっ…と!」

振りほどいた男の手をつかんだのは
「マチ!」
だった。

マチは男の手を捻りあげると
「あたしの連れに何か用?」
冷たく言い放つ。
「あ、い、いや、人違いかな?はははは…」
男はから笑いをしてそそくさと立ち去っていく。

「マチ〜、助かったよ。遅かったね?」

「ああ、悪いちょっと前の仕事が長引いてさ。それじゃ、行こうか。」

「うん!」

と、元気に返事はしたものの、仕事内容を詳しく聞いていないルカは道すがらマチに仕事内容を訪ねていた。

それはルカにとっては意外な内容だった。

ザバンの北にある小さな国では内紛が絶えないらしく、そこで戦っている負傷兵の治療だと言う。

「てことは、私は治癒能力使えばいいの?」

「まあ、そうなんだけど、痛みを背負う事になるからね、それでもいい?」

「うん、大丈夫。その為の能力だし!あ、そっか、だから仕事の内容詳しく言えなかったの?」

「そ。言ったらルカフェイタンに言うだろ?そしたら絶対あいつルカのこと止めるはずだからね。」

2人は飛行船に乗り込みながらそんな話をしていた。

「確かに、フェイタンは私に翠の夜想曲を極力使わないで欲しいみたいだし。」
「そりゃそうだろ。あんたが傷つくの一番嫌なんだからさ、あいつは。」

マチの言葉に照れくさそうに笑うルカを見る限り、2人の仲は変わらず良好なようだった。



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