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「空様!おかえりなさいませ!」

神社に着くとすぐに迎えてくれたのは西だった。

「お待たせ。千早姉さんと東は?」

「今村の者と崩れかかっている社のほうへ向かっています。こちらです。」
西の案内でクウ達は敷地内を進む。ほんの少し進んだだけで、クウはいつもと違う匂いに気がつく。敷地全体から漂う木の腐った臭いだ。

「随分傷んでるみたい。」

「お分かりになりますか?」

「うん、木の傷みが聞こえてくる。」

「お、クウお得意のヤオヨロズってやつか?」

フィンクスが言うと、クウは笑って
「フィンクスだってハンター試験でやってからすごくうまくなってるよ。多分フィンクスにだって感じられるはず。」
と言った。

そんな雑談をしながら神社へと向かった。
しばらくすると、人々の話し声が聞こえてきた。どうやら修理について相談をしているようだった。

「姉さん!」
クウが声を掛けると、着物姿の女が振り返った。
忍としての生き方は捨て、今はこの村の頭領でもあるチハヤだ。

「空様!早かったのね!」

「もちろん。じいちゃんが守ってきたお社が無くなってしまったら私だって悲しいし。力持ち連れて、戻ってきた。」

「おいクウ、俺らを力持ち、で一くくりにすんなよ。」
「ノブナガは力ねぇしな。」
「はは、ノブナガはウボォーの小間使いね。」
「なんだとてめぇら!」

きっと彼らは小競り合いが趣味なのだろう。とクウは思うことにして、早速チハヤに聞いた。

「それで姉さん、宮大工は呼んであるの?」

「ええ、呼んではあるけど人手がどこも足りないみたいで……」

「っていうかそもそもなんでお社崩れそうなの?」

「ああ、それが、少し前にちょっと大きな地震があったの。世界的なニュースになるほどではなかったし、幸い内陸が発生源だったために津波などの二次被害も無かったけど、あちこちで家屋やこういった古い建造物の半壊、全壊があったようで宮大工も手が回らないのよ。」

とチハヤが言った。

「クウ、ミヤダイクて何ね?普通の大工じゃダメなのか?」
フェイタンが聞くと、クウは頷いた。

「うん。宮大工は神社とか仏閣なんかのジャポン特有の建造物を専門にしてる大工のことで、ジャポン古来の技術を使って直してるんだ。」

「何が違うんだよ?別にネジとかクギで直せばいいんだろ?それなら俺らでも出来るぜ?」

フィンクスが言う。しかしすぐに
「ジャポンの建造物の中でも神社や仏閣、お寺はそういったものをほとんど使っていないんだ。ジャポンは木で建物を作る国だ。木と木をうまくはめ込んだり組み合わせる事で何百年も壊れない建物を作ってる。金属は錆びるし、痛んできたときに全体を変えなきゃいけない。けど、木なら痛んだところだけ継ぎ足して直すことが出来るんだ。」

ジャポンではそうやって歴史を作ってきたのだという。その技術は世界に誇れるもので、鉄や石で作った建物よりも遥かに長く形を保っていられるのが木なのだそうだ。


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