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シズクが帰り、2人の夜がやってくる。
「なんか物が減てるな?」
「あ、うん、シズクに聞きながらいらない物を捨てた。フェイタンありがとう。シズク、呼んでくれて。」
「別に大したことしてないね、それより……」
フェイタンがソファに座るクウを押し倒してのしかかる。
「な、なに?」
「お前、さきの男と言い、変なヤツに好かれすぎね。」
「そんな事言われても……」
私のせいじゃないし、と言いかけたがその口はすぐにフェイタンに塞がれた。
「んんっ……」
クウが黙るとフェイタンは口を離して
「どれだけ周りに愛想振りまいてるか?」
と聞いた。
「愛想なんて、そんなつもりじゃ……」
「お前にそんなつもり無くても大抵のヤツはお前の笑てる顔が作り笑顔なんて気がつかないね。」
「で、でもバイト先であんまり仏頂面してるとやりづらくなるし……」
バイトなんてものをしたことがないフェイタンにそういった面での社会性など皆無。クウの言う事が理解できないではないが、
「全くこちの身にもなてほしいね。どうすればワタシのモノと周りに理解させられるか?」
と言った。
「えと、あ、私が恋人いまーすって公言しまくるとか?」
「お前のキャラじゃないね。」
「えぇっ?!じゃあどうすればいい?」
クウが聞き返すとフェイタンはしばし思案してから
「こうするね。」
と言ってクウのクビにくっきりと跡をつけてしまった。
「えっ!ちょ!!キスマークつけて仕事なんて出来ないよ!」
「バンソウコウでも貼ておけばいいね。大抵のヤツはそれで察するね。」
「あの男みたいに頭のおかしいヤツにはそれも通用しないと思うけど。」
「そういう奴はワタシが全部殺すね。」
だから今後は何かあればすぐにでも自分に言うように、とフェイタンはクウに念押しをして、それから
「で、キスマークだけでワタシが満足するとでも思たか?」
と言ってにやりと笑う。
「知ってる。血の匂いを嗅いだ日のフェイタンは……」
───すごく激しいって事。
顔を真っ赤にしながらフェイタンの胸に顔をうずめた。
「はは、よくわかてるね。イイコは沢山気持ちよくしてやるね。最後に汚い血も浴びたしな。それも掃除してもらうね、」
こうして夜は更けていく。
フェイタンの為に。
〜Fin〜
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