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7

「シズク、ありがとう、お礼に夕飯一緒に食べていく?」

「いいの?けどクウって料理、出来たっけ?」

「う……最近は失敗する事は6割くらいに減ったから多分、大丈夫。今日のはカレーと同じように作るやつだし。」

シドロモドロに答えるとシズクは小さく笑って
「それじゃお言葉に甘えようかな。けど不安だから手伝うね。」
と言った。

───シズクが毒舌とは聞いていたけど……これはしびれるね。

苦手なものについて指摘されているため否定も出来ない。

あまり料理をするイメージではなかったシズク。そしてそのイメージどおりマチよりは手馴れていないようだったが、それでもクウと比べれば月とスッポン、いや、月とノミくらいの差があった。

「こうも皆料理が出来ると本当、情けない。」

「別にいいんじゃない?フェイタンも料理の出来不出来でクウの事好きなわけじゃないんだし。」

「まあそれはそうかも知れないけど……」

自身を失いかけつつも、どうにかハヤシライスを完成させた頃、開いていた窓から血の匂いが漂った。

「あ、フェイタン帰ってきたかも。」

とクウが言ったとほぼ同時に、窓から直接フェイタンが部屋へと降りた。
それ自体はいつもの事だが、いつもと違ったのはフェイタンの右手に生首、左手にその胴体があったことである。

「フェイタン、何それ?」
クウは聞いたが、フェイタンがクルっとまわして見せた生首の顔には見覚えがあった。

「アパートの前でこの部屋を監視してたから声掛けたら変な事言てたね。だから殺しただけね。クウ、知り合いか?」

「いや、知らないけど、知ってる。」

クウは今日バイト先であった出来事と、工場長に見せられた男の話をし、フェイタンが今もっている生首こそ、その男だ、と話した。

「ああ、だからか。クウが自分を狂わせた、みたいな事言てたね。」
「うえ、気持ち悪いから捨ててこよう。」
「はは、捨てなくても、ちょうどシズクがいるね。」
フェイタンはシズクの方に生首を突き出す。シズクは頷いて
「デメちゃん、この部屋にある死体と肉片、および血液を吸い取れ。」
と言ってデメちゃんを起動させた。

その瞬間、男の死体は綺麗さっぱり消えた。

だが

「あっ!!ハヤシライスに入れたお肉が!」
クウの目の前をハヤシライスに入れていた肉が通り過ぎた。


「あ、ゴメン。これも肉片だよね。」

「というか、別にさきの男は肉片なんてなかたよ。」

「あ〜〜お肉の無いハヤシライスになっちゃった。」

「はは、今日はハヤシライスか。ま、肉無しでガマンしてやるね。」

フェイタンは気にした様子も無く席に着いた。

「うう、なんか悲しい。」
「ゴメンって。今度また作ろう。」
「うん。そうする。」
「その時はまた手伝うね、デメちゃんなしで。」
「おねがいします。」

3人で肉無しハヤシライスを食べた。


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