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6

それからその日一日は倉庫内の掃除と片付けで終わった。
───う〜ん、次に具現化するとしたらこの洋裁用のdカーブルーラーがいいかな。

dカーブルーラー文字通りアルファベットのdのような形をした定規で、洋服を作る際のカーブラインを描くための定規である。

───この形ならブーメランみたいにして投げることも出来そうだし、真ん中の穴を使えば敵の捕縛も出来そう。

最後に割れてしまって使えなくなったdカーブルーラーをゴミ袋に入れて、帰路へと着く事になった。

───今日の夕飯はカレー……は流石にも飽きたよね。

と考えてそういえばマチがルーさえ変えれば作り方はほとんど同じと言っていたハヤシライスにしよう!と

食材を洗剤で洗おうとしていた時期に比べれば大した成長である。

───それで、フェイタンが帰ってくる前にまた掃除にチャレンジだ。
そして食材を買って、アパートに着くと、アパートの前では意外な人物が待っていた。

「あ、お帰り。」
「あ、あれ?シズク、なんでここに?」
「うん、フェイタンからメール貰って。クウが掃除苦手っぽいから手伝ってくれって。」
「うそ、うわ、ちょっと恥ずかしい……けどお願いします。」
シズクに礼をいって、シズクを部屋に入れる。
「それで、苦手って、どう苦手なの?」
「えと、ゴミの分別がよく分からない。けどそれは今日バイト先で聞いてきた!」
「あ、そうなんだ。けどそれってゴミってわかるものがあって初めて使える知識だよね。クウ、なにがいる物でいらない物かとか、わかるの?」
「それくらい!」
「ふーん、じゃ、あれは?」
とシズクが指差した先には調味料の空瓶が数本。

「いや、アレはほら、どう捨てるかがわからなくて……」
「じゃ、あれは?」
次に指差したのは以前バイト先の人からもらった花だった。
「アレは、花だし、まだ完全に枯れてるわけじゃないし……」

視線の先には、ほぼ、枯れた花。

「うん、ゴミだね。クウ知ってる?ゴミを捨てられない人の家がゴミ屋敷になるんだよ。」

まさかゴミだらけの街で育ってきたシズクにこんな事を言われようとは、と思ったがたしかに一理ある。

「捨てるには思い切りが大事、って事か。なんか人から貰ったものだから捨てるのも心苦しくて……」

「人はすぐ殺すのにね。」
出るや出るやのシズクの毒舌。結局シズクに手伝ってもらって、いるものといらない物を分けた。その際、シズクに言われたのは「季節物以外で3ヶ月使っていないものはいらない物と思え」と言う事だった。

シズク曰くはそうしないと物はどんどん増えるのだそうだ。
特に今までのように自分ひとりで淡白な生き方をしていくならいざ知らず、誰かのために、と思って自炊を始めれば自ずとそうなるのだと言う。
より便利に、より快適に、と欲が出れば欲の分だけ物も増える、と言う事らしい。

その結果、およそゴミ袋2袋分ほどの不要なものが出た。
クウが買ってきたもの、貰ってきたものなどをフェイタンが勝手に捨てることは無いため、これだけの不要物がまだあったのだ。

「自分に掃除をする力ないくせに色々買いすぎた。反省する。」
「うん、その方がいいよ。それで、後はこれで……」
とシズクはおもむろにデメちゃんを具現化する。

「え?デメちゃんで吸うの?」

「うん、あたしはいつもそうしてるよ。ゴミ捨てに行くの面倒だし。けど、デメちゃんは具体的な指示がないと吸えないから分別はしないといけないけどね。」

そしてスイッチオン、あっという間に分けたゴミはデメちゃんの丸いボディーへと吸い込まれていった。


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