×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




4

それにしても倉庫内はひどい有様だ。

完成した様々な形の定規をしまっていたケースや、その中身が破壊されているのは当然だが、定規を作るための巨大な機械にもところどころ凹みや割れがある。

───これは完全に何かで殴って壊してる。へこみの形からすると、バットかなにかかな……残留オーラはないし、念能力者ではなさそう。

ゴミを分別しながら倉庫内をじっくり観察しているとふと気がつく。

───けど、壊されてるのって、品物と、品物を作るのに関わるところだけなんだよな……

と考えると、ひとつの疑念が生まれる、

「これって、本当に精神異常者がやったんでしょうか?」
クウがポツリと呟くと、一瞬倉庫内が静まる。

「どうしてそう思う?」
1人の従業員がクウに尋ねる。

「いえ、だって、異常者がやるならもっと見境ないはずだと思うんですけど、商品と関係ない窓ガラスとかドアは一切破壊されていないのに、品物に関わるところだけやられてるから変じゃないですか?何か作為的な感じがする、というか。」

クウの発言に思わず周りの従業員達が固まる。

「言われて見れば、確かに。それじゃそいつ異常者の振りをしてるってこと?」

「はい。そうすれば裁かれませんし。」

「ちょっと工場長に伝えたほうが良くない?もしかしたら心当たりがあるかもしれないし。」
そういって従業員の1人が電話をしに、1度倉庫を出て行った。

15分程してその従業員が戻ってくると、呼ばれたのはクウだった。
「サギシマさん、工場長が呼んでるわ。」
クウに見解を聞くために呼んだのだろう周りは思った。
クウ自身もそう思った。

だが、呼ばれて工場長の居る事務所に行くと、クウが思っていたのとはまるで違う話を工場長はし始めた。

「まだ、警察から犯人の素性については聞いてないんだが、君の見解を聞いて1人だけ心当たりがあるんだが、君が関わっているかもしれない。いや、君とその男は関係は無いんだが……」

「え?ど、どういうことです?」

クウが聞き返すと、工場長は退職者名簿を取り出して
「彼だ。」
と指を指した。
そこには履歴書が挟まっており、写真で見る限りクウより5歳くらい年上だろうか。ちょうどクロロと同じような年頃の細面の男が写っていた。


[ 12/24 ]

[前へ] [次へ]




TOP