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3

朝食に使った食器などを片付け終えるとお互いそれぞれの仕事場へ向かう。

クウのバイト先はアパートからそう遠くないため15分程走ればたどり着く。

いつも通り作業場へ向かうと従業員がなにやら慌ただしくしていた。それもそのはず、作業場は一目見ればわかるほどに荒れていたのだ。

「どうしたんですか?この騒ぎは……」
クウが近くに居た従業員に声を掛けると
「ああ、サギシマさん。おはよう。いやね、昨日の鍵番の人が倉庫の鍵を掛け忘れたらしくて、泥棒が入ったみたいなの。」
と答えた。

その後も詳しく話を聞いてみると、泥棒はすでに捕まったそうだが、精神異常者だったらしく、法では裁けないそうだ。
さらに、何か物取り目的で入ったわけでもないそうで、倉庫内はかなり荒らされたり壊されたりしているものの、盗まれた物は一切なさそうだ、という事である。

「まあ盗むっていってもこの倉庫にお金になりそうなものはないしね。そんなわけで工場長からの指示で、今日は倉庫の片付けとついでにこの際だから徹底的に掃除をしてくれって。1週間位はかかっていいからとにかく綺麗にしてほしいって事らしいわ。」

と従業員は教えてくれた。
なんと良いタイミングだろう。掃除が苦手だ、と感じ始めていた矢先の事だ。
それになぜかバイト先の人には恥ずかしげも無く色々聞けてしまう。
「あ、あの、私掃除が苦手なんです。」
と一言言えば
「あら、大丈夫よ。フォローできる人沢山居るし、結構便利な洗剤とか私知っているから教えてあげるわ。」
といろんな人からこう返ってくるのである。

文具の具現化は少し先延ばしになってしまうが、フェイタンに迷惑かけないためにも、掃除は出来るようになっておかなくては、と考え、クウは張り切って腕まくりをした。

「それじゃ。まずゴミを分別しましょうか。こっちが燃えるゴミ、こっちが燃えないゴミの袋ね。」

「はい!あのー、疑問に思ったんですが、燃えないゴミ、ってどこまでを言います?」
こんな事旅団の面々に聞いたら馬鹿にされるだろう、と思っていつも聞けないでいたのだ。

きっとフェイタンなら馬鹿にもせずに教えてくれるとは思うが、何となく恥ずかしくて聞けなかったのは、クウがそれだけフェイタンの事が好きだからだろう。

「あはは、確かに、若い子はちょっと悩んじゃうかも知れないわね。この地域の分別なら覚え方は結構単純よ。

と従業員の中でも親しい主婦が答えてくれた。

それによると、プラという表示のあるものが燃えないゴミ。それ以外は生ゴミ、紙ゴミ、ビニールは一緒の袋で良いそうだ。だが、金属や、瓶、カン、ハッポウスチロールについては別にしなくてはいけない。

「概ねこれだけ覚えておけば大丈夫ね。あと木材とか食器、布、調理器具みたいなものは特殊ゴミになるから基本的には袋を分けておいて、地区が指定する曜日の朝にゴミ捨て場においておけば大丈夫よ。」

───な、なるほど…。ポイントはプラ表示だったんだ。ってことはラップは燃えるゴミ!

頭の中で豆電球が光ったような気がした。

クウはそんな普通の人ならわかるような事を知らないが、それ以外については非常に優秀だった。1度教えたことはすぐに覚えるし、効率よく立ち回れる。
それでいて非常に素直で、体力もある。
新しいバイト先でもすでに老若男女問わず好かれていた。


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