夕飯を食べ終わった団員達はクウの料理の腕が少しマシになったことを褒めていた。

「いやーまさかクウがカレーが作れるようになるなんてな。」

「おどろきおどろき。ごめんごめん。」

まるで悪びれていない2人にクウはムッとしながらも、大好きなフェイタンが満足そうにしているので2人は許してあげた。

「でもさ、これから毎日カレーだったりして。」

シャルナークはコンコン、とカレーの皿をスプーンで叩きながら言うとクウがギクリ、とする。
おそらくそのつもりだったのだろう。

しかし
「カレーできたならシチューとか、ハヤシライスとかも同じね。市販のルーなら作れるよ。」
とフォローしてくれたのはやはりフェイタンだ。
やっぱり、フェイタンは優しいな、とクウは思っていた。

夕飯を終えて片付けも終わり一心地ついたところで、フェイタンが腰を上げる。


「クウ、帰るよ。」

「えっ!?あ、う、うん。」

「お、なんだ?もうお帰りかよ。け、いいよな〜彼女持ちは夜も楽しめてよ。」

「っちょ、フィンクスてば下品〜。」

とか言いながらもシャルナークもニヤニヤしている。アジトを出かけていたフェイタンが立ち止まる。

そして振り返ると、ツカツカと2人の前へ。



「おまえら……ワタシが怒てるの、忘れたか?」

フェイタンの言葉に明らかにフィンクスとシャルナークの身体がこわばる。

「ちょっと、フェイタン、団員同士のマジギレご法度は?」
「シャル、別にお前らを殺そうなんて思てないね。だから、これはマジギレじゃない。」
「いや、じゃあなんでてめぇ刀出してんだよ。」
「フィン、刀には峰打ち、というのがあるね。」
スラァ、と刀を抜く。


「いや、ちょ、マジで?マジで言ってんの?ゴメン!ゴメンって!からかった事は謝るよ!」

「ゆ、許してくれ!」

「ワタシが怒てるのはそこじゃないね。ま、それも腹立つけど、お前らクウの事馬鹿にしすぎね。」


「フェイタン!いいって!私大丈夫。」

クウが慌てて止めに入る。マチはというと、自分も馬鹿にしていたことを棚に上げて笑いをこらえていた。

「クウ、お前良くてもワタシが良くないね。」

フェイタンは言うが、クウは今にも泣きそうな顔でフェイタンを見つめる物だからフェイタンはフゥ、と息をついて
「わかたよ、じゃ、ワタシから何かするのはやめておくけど、代わりにクウ、お前がコイツら一発位殴てやるといい。」
と言った。

「えぇ!?」
「マジで?ってかクウそんな怒ってねーだろ?な?」
フィンクスが言うとクウはにこりと笑っていたが、それは能面のような冷たい笑顔。

「ん〜怒っては、いる。ので、手加減はするけど……文明の利器!」

と手元にスケールを具現化した。1メートルほどの大きさのスケールだ。


アジト内に悲鳴がこだました事は言うまでもないだろう。同時にマチの爆笑も。


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