期待




黒子っちに指摘され無事に部室についた。

ガチャガチャとドアを開け中に忍び足で入る。
別に忍び足でにする必要なんて何処にもないんたけどね


「失礼しまーす・・・」


もちろん、返事はない。
中に入ると意外と綺麗だった。
なーんだ、黒子っちが脅かすからもっと汚いと思・・・


そこでなにか、どこかから視線を感じた。
なんだろう、嫌な予感しかしない。

視界の隅っこに見える。


いる。

奴がいる。

黒い光沢を放ち、カサカサと動くあいつが。


見たらだめだ、見たらだめだ、


そのまま視線を変えずに後ずさる
奴に気づかれる前に、すみやかに、颯爽と、


「きたかぜ・・・?」


「っ」


集中しているところ、急に後ろから声をかけられ思わず飛び上がる。バッと振り向けばそこには


「あ、かし・・・」


今日は朝からびっくりすることばかりな気がする。


「どうしたんだ?」


「な、なんでもない・・・そ、それよりとりあえずここからでよ!」


早くここから立ち去りたい。
もう頭の中はそれだけ


「・・・その先になにかあるのか?」


何故追求する。


「なにもないよ・・・?」


「怪しいな」


そういい赤司は私の肩を押しながら進む。
なんで私を押すの?!


「や、ちょっ、ま、まった!!!」


「まったは無し」


赤司は止まる気がないらしい
やばい、もうやばい、どうしよう、近い近い近い奴が!!!奴が近い!!!やばいやばいやばい・・・!


「だ、ダメ!!!!!」


くるっと振り返り赤司に抱きつき全力で止める


「い、いいいい、いる!!」


ばっと顔をあげ訴える
多分今涙目。


「・・・」


「ね、早くいこうよ、いるよ、いるんだよ奴が!」


赤司に全力で伝えてるけど赤司は一向に動こうとしない。しょうがないのでゆっくり奴を見てみる


あれ・・・?
・・・・・動いて、ない・・・?
あれ・・・?


「ぷっ、」


「え?」


私の頭上から笑ったような声がしたので首を戻し、また見上げる。赤司の肩が小刻みに揺れている。

もしかして・・・

ゆっくりとまた奴に目をむける
今度は目を凝らして。


「・・・死んでる・・・?」


「違うだろ」


赤司は耐えられなくなったのかクスクスともう既に笑っている。そんな中私は死んでる以外になにがあるのかを考えていた


「おもちゃだよ」


笑っていた赤司がふいに私の思考を見透かしたように答える。


「え?」


ほら、と私から離れゴキブ・・・奴の足を持ち上げプラプラさせている赤司。


じゃあなに、私はずっとおもちゃの奴に弄ばれていたということか。そういうおちか、そんで抱きついたのか。なにそれ穴があったら入りたい


「お、おもちゃかぁ〜じゃ、しゃ、じゃあ私はもう行くね〜」


さっきとは違う意味でここから立ち去りたい。
何事も、抱きついたこともなかったように赤司の横を中腰な気分で通り過ぎる。


通り過ぎた後ろから私の首辺りにきゅっと腕がまわった


「?!」


思わず体が固まる
何が起こってるのかわかるけど、わかるけど意味わかんない。


「なんてな、じゃあ俺はそろそろ行くよ」


私と違って涼しい顔の赤司はスタスタと扉を開け外へでていく。


・・・どきどきと鼓動が止まらない
どきどきしてるのは私だけか・・・

ああいうのはやめてほしい、変に期待しちゃう。
そんなわけないのに。

胸がきゅーっとして泣きたくなった


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