自然に


携帯を返してもらってから、
皆でアイスを食べた。
黄瀬はちゃんと、さつきちゃんと青峰とむっくん(さつきちゃんがむっくんって呼んでた。)におごってた。

なんで青峰っちと紫原っちにおごんなきゃいけないんスかぁ!なんて嘆いてたけど。


黒子っち(黄瀬がそう呼んでた。)はさりげなく買ってもらってた。

なんだかこういうのって青春してますーって感じするなぁ


「俺こっちなんで!赤司っち、ぽてこっち、また明日!」


「あぁ、また明日」


「そっか、ばいばーい」


実は皆もう別の道から帰って行って、今黄瀬と別れたから赤司と二人きり。
なんだろう、昼休みとか話ししてるけど夕方のこの静けさってなんだかドキドキする


「……ぽてこ」


「え………?!」


「って、呼ばれてるのか?黄瀬に」


「あ…、うん」


びっくりした…名前で呼ばれたかと思った


「ふーん…」


「あ、えっとなんかね、最初はきたかぜさんって呼ばれてたんだけどいつのまにか名前でよばれてて、だから、その、えっと…私の、意志とか…じゃなくて…」


うあー私は何が言いたいんだ………!
なんかこんなに説明して…浮気がばれて言い訳してる人みたいだわ………


「そうか」


あ、あれ……
…まぁそういう反応ですよねー……
わかってたけどちょっと……ショックというか…なんていうか……
沈黙が気まずい…


「あのさ…、えーと…」


話題、話題話題話題……!


「あ…!赤司は家どどこなの?」


「俺はこの先だ」


この先ってことは私の家と同じ方向だ!


「本当?!じゃあこれから一緒に帰れるね!」


やった…!
嬉しくて顔が緩む


「あぁ。これから夜も遅くなったりするだろうし、丁度いい。家まで送るよ」

「え?!それはいいよ!悪いし!」


本当は家まで送ってくれたら彼氏彼女みたいでいいなぁーって思ったけど、さすがに悪いので否定した。だけど赤司は「送る」の一点張り。


「ありがと……」


そして結局甘えることになった。


「気にするな。ついでだからな」


ついで…うん、ついででも嬉しいよ…!
私はポジティブに生きようと(今)決めた。



そのあとも少しだけちょろちょろはなし、家の前まで来てしまった

「あ、ここ!私の家です」


「ここか、…明日寝坊するなよ?」


口元を楽しそうにしながら言う赤司
朝は嫌いだけど…が、頑張るし…


「努力します……赤司こそ寝坊しないようにね」


「俺がするわけないだろ?」


まぁ、そうですね
なんだか本当すぎて反抗できない…
なんとなく少しだけ沈黙がよぎった後
赤司が切り出した


「じゃあ、明日からマネージャーとしてよろしく頼むよ」


まだ話してたかったなぁ…なんて付き合ってるわけでもなんでもないので、言えるはずもなくそれに笑顔で答える。


「うん、任せといて!じゃあ、ね」


赤司も私の言葉に少しずつ後退しながらも答える


「あぁ、ぽてこ、また明日」


言った後、前を向き歩き出す赤司。周りが大きすぎて小さく見えるけどやっぱり赤司はかっこいいな。
ぼーっと赤司が角を曲がるまで見送る、そして気づく

………あれ?


「……な、………名前…………」


自分でもわかるくらいに頬が熱くなった。

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