夢を見た。
それは昔の夢。
あるいは少し前の夢。
あるいはまだ大ちゃんがバスケが好きで好きでたまらないって目をしていた頃の夢。
いつからだろう、
大ちゃんがサボるようになったのは。
いつからだろう、
皆がバラバラになっていくのを眺めるしかできなくなったのは。
その時、私はどうすればよかったのかな。
そんな夢。
今更なんでそんな夢を見たのかはわからない。
屋上で寝っ転がったまま空を見上げてたら、夢にでてきた人物がきた。
「んだよ、お前そこ俺の特等席。邪魔」
「サボり魔には言われたくないですー」
チッと舌打ちをし、寝っ転がってる私の横にドカッと座る横顔を見つめる。
最近また、大ちゃんがバスケを楽しいって目をしだした。
そのキッカケ、
多分それは誠凛に負けてから。
"負ける"
それは人にとって大事なことであり、
同時にそれは願いたくないこと。
それでもずっと隣にあるもの。
だけど強くなった大ちゃんにはその言葉は隣になかった。
"なかった"そう、過去形。
「ふふっ」
「? なに急に笑ってんだ気持ち悪ぃ」
「なんでもないよー」
軽快にそう答えれば、本気で引いた顔
ちょっとまってそれは傷つく。
でも…大ちゃんが楽しいなら私も楽しい
大ちゃんが嬉しいなら、私もまた嬉しい
「…大ちゃん」
「……んだよ」
「今、楽しい?」
「………」
黙るってことは肯定ととっていいんだね
「よかったね」
「…うるせぇ」
もしかしたらあの夢は、
思い出になったから、
夢となってでてきたのかもしれない。
もう、大丈夫だよ、と。
ふと目があった大ちゃんに微笑めば
照れるようにふいっと目を逸らされた
帰ってきた言葉