「黒子っちー!おっはよーう!」

朝練の後、廊下を歩いてると
皆が気づかない僕に真っ先に気づいて、
あいさつしてくれる女の子がいる。

「………」

「うわお。すごいジト目!いいねいいよ〜」

僕に気づいてくれることは正直嬉しい
だけど…

「…はぁ」

「どうしたの…?」

なんでいつも"黒子っち"なんて呼ぶのか
黄瀬くんと仲いいのは知っているけど…
なんとなく嫌だ

なんとなくというか、嫌だ
このモヤモヤの気持ちの正体は自分で気づいている

「なんであなたはいつも、僕のことをそう呼ぶんですか?」

「え?」

僕がそういえば、
きょとんとした顔を浮かべている

「…黒子っちって呼ばれるの嫌だった…?」

「…」

「黒子くんってほうがよかった…?」

「そうじゃなくて…名前とかのほうがいいです」

口ではそういいつつも、
名前で呼ばれたら、自分で言っておいて恥ずかしいかもしれない。


「…テツくん」

「!」

不意打ち。まさか本当に呼んでくれるとは思わなかった
どうしよう、今すごく鼓動が早いのがわかる

「……黒子っち」

目線を下に向けながら呼び方を戻す

「…なんで戻すんですか」

「いやなんていうか…やっぱり名前は恥ずかしいというか……なんというか…」

確かに心臓に悪いかもしれない
でも、心地いい
…僕が彼女の名前を呼んだら彼女はどんな反応してくれるんだろう。
気になる。


「…ぽてこ」

「は、はい?!」

「…ぷっ、くくくっ」

「なんで笑うのっ!」

なんでって言われても、敬語だし、顔がりんごみたいだ

「いやだって顔赤い、ぷっ」

「もー…!ひどい!」

「すいません。あんまりにもかわいくて」

笑い涙を軽くすくいながら
うなだれる彼女に素直に伝えると動揺しだして、これまた可愛い

「っ、そ、ういうこと言うのダメ反則!私みたいな恋愛経験皆無の人にそういうこと言ったらすーぐ惚れちゃうからね!」

「…惚れてくれてもいいんですけどね」

ぽろっと口からこぼれた自分のことばに吃驚した。

「…う、え?」
 
僕以上にびっくりしてる人もいるけど
あ、教室。

「そのまんまの意味です。ではもう教室なので。また後で」

いい逃げになっちゃったけど
いいや。この機会にちゃんと気持ちを伝えよう。


「え…?え…?!」



ある冬の朝の告白


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