「赤司くん、」

「あぁそれか、そこ置いとけ」

どうして私に冷たくするの?


「赤司く」

「おい小太郎、なにやってる」

「……」

どうして私を無視するの?

「あ、赤司くん!明日のことなんだけど」

「……あぁそれなら違う人に頼むよ」


マネージャーとしても認めてもらえないの?

そんなに私のこと嫌い…なの…?




今日は一斉下校の日。
部活も何もない。

キーンコーンカーンコーンと
学校終了を知らせる。
SHRも終わり号令をかけ本格的に皆帰り始める。
部活ないラッキー!とか今日カラオケいこーよーなんて声がちらほら。

私は部活はないけど、残念ながら先生に雑用をたのまれた。


ドサッと大量の紙を机の上に置く。
あの先生、私があのバスケ部のマネージャーだからって押しつけやがって…!

マネージャーだからってこういう作業早いだろ?なんて…そんなの関係ないし!

「はぁ」

重いため息。
でも頼まれたことは最後までやらないと。
窓側の席に座り、淡々とホチキスで紙をまとめていく。

カチカチっ

半分くらい終わった頃だろうか、
なんとなくふと外を見ると
赤い髪のあの人がいた。
きっと自主練でもしてたのかな…?

いつ私に振り向いてくれるのかな。

…ううん。絶対振り向いてくれない。

もう諦めようかな。
嫌われてる……みたいだし。
頭ではわかってるけど、心はやっぱりまだまだ好きで諦めるのには時間がかかりそう

マネージャー、辞めようかな

そしたらこの気持ちも薄れるかもしれない
部の皆には申し訳ないけど、
マネージャーは私の他もいるしいいよね

明日、辞めよう。

「征十郎…くん」

ぼそっと誰もいない教室で呟く
一回くらいは名前を言ってもいいよね
そんな気持ちで外にいる彼を見つめながら呟いた。

早くこの気持ち、消えちゃえ
そう思い込み机に顔を伏せた。




「…ん、あ…れ…?」

あれ…?私なんでこんなとこで……

そこでハッとした。
やばい!雑用頼まれてたのに寝ちゃった…!
大急ぎで続きに取り組もうとした。


けど、

「あ…れ…?」

紙が無くなってる。
まさか、

「盗まれた…?!」

「そんなわけないだろう」

一人でパニック状態になっていると
上から声がした

大好きな、声。

「赤司…くん…」

「残りの書類は僕がやっておいたよ」


随分と気持ちよさそうに寝てたからね。
そう微笑みながら言う。
笑顔初めて見たかも……。

それに対してごめんなさいしか言えない私。
でも気になることがひとつ、


「あの、なんでここにいるの…?」

「ぽてこがいたからだが」

「ん…?」

「だから、お前がいたから来たんだ」


えっと、言っている意味がイマイチよく理解できない。私は嫌われの身なわけで、私をみたからここにくる理由が見つからない。

「えっと、え?」

「今まで冷たくされてたのに、嫌われてるのになんで…?と言ったところだろうか」

「…!」

え、エスパーか…!

「その、冷たくして悪かった……」

謝られてる…
ってことは嫌われてないって事?
そのまま赤司くんは続ける

「れおに言われたんだ」

「れお姉…?」

なにを言われたというんだろう

「冷たくすると嫌われちゃうよってな」

「……私のこと、嫌いじゃないの?」

「…あぁ、冷たくしてたのは…制御できる自信がない。僕も男だからね。制御できなくて嫌われるよりは冷たくして嫌われた方がいいと思ったんだ。」

そう付け足す。

なんだ嫌われてるわけじゃなかったのか
よかった……本当よかった
ふぅとため息をつく


「…ねぇぽてこわかってる?君が好きってことなんだけど」

「?!」

嫌われてると思ってた人から
急に好きって………好き?!!

「ぷっ」

一人百面相をしてたら上から笑い声が聞こえた

バッと上を向くと夕方に染まった彼の顔

「まったく、ぽてこはかわいいね」

そう言う彼の顔はすごく綺麗
でもそんなことをサラッと言っちゃうなんて恥ずかしい!私が…!
顔が熱くなってきたのがわかる
あわてて隠すように下を向く
だけどそれは綺麗な彼の手によって阻止される。私の顎をクイッと上に。

「ねぇ、ぽてこは?僕のこと好きか?」

そう問う赤司くんの瞳は少し不安を纏ってる。私はその不安を拭うように気持ちを今伝えるんだ。


「私も赤司くんのこと好き、大好き!」


少し大きめの声で伝えると赤司くんは

「知ってたけどね」

と照れくさそうに笑った


遠廻りの恋


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