グランの頭をポンポンを撫でた。グランはきょとんとして、すぐにはにかんでくれた。


グランを抱き締めてみた。柔らかく微笑んで抱き締めかえしてくれた。
















心が痛んで涙がボロボロととめどなく流れた。グランは驚いていたけれど、優しく私の涙を拭ってくれて、それに余計に涙が溢れた。ほろほろと落ちる涙がグランの血色の悪い指先を濡らしていく。ゆらりゆらりと涙でグランの顔が霞んで揺らいで。このままグランが、グランを取り巻く世界ががらがらと音をたてて壊れてしまうんじゃないかって不安で不安で仕方がなかった。唇はぶるぶると震えて感情という私が持ちうる感情全てがぶわりと涙に取って代わって飛び出す。グランはここにいる。……いるのに。それを止める術を知らない私はただ声にならない声でグランに支えられながらただただ彼がいることを確認するよう何度も何度も叫び続けた。



「どうしてゆいちゃんは泣くの?」

「泣かないで」

「笑って、笑っていてよ、ゆいちゃん」

「ゆいちゃんが泣くと俺も悲しくなる」

「だから笑って?ほら笑ってみせて?」



ね?とお手本のような笑顔を向けるグランを直視することはできなくてぽすんとグランの胸に顔をうずめた。私をあやすグランの少し冷たい温もり。……グランはここにいる。


私とグランは敵同士た。私は雷門、グランは今日本中を騒がしているエイリア。私はサッカーをしているわけではないけれどサッカーについては多少なりとは知っているつもりだ。


グランと私が出会ったのはグランが雷門を偵察にきていた時だった。基山ヒロト、そう名乗った彼を好きになるのにそう時間はかからなかった。エイリア学園のジェネシスのキャプテン、グランだと自己紹介された際は驚いたけれど、宇宙人だとしても彼は私の好きな彼に違いはなかった。


雷門のキャプテン、円堂くんはサッカーを凄く楽しそうにプレイする男の子だった。口を開けば、サッカーサッカーサッカー。いつだってどんな時だってサッカーをする円堂くんはきらきらと光り輝いていた。微笑ましくなるほど彼はサッカーを愛していた。だからこそ彼の周りは人で笑顔で溢れて慕われているんだと思う。


一方のグランは、と言うと。私は一度だけグランがサッカーをしているのを見たことがある。あれは私が雷門を応援しようと陽花戸中に行ったときだった。衝撃を受けた。雷門が負けたことよりも彼らのするサッカーに。円堂くんとは真逆のサッカー。グラン本人は気がついているのかいないのかはわからないけれど、彼のサッカーはどこか窮屈で苦しげだ。円堂くんのように心の底から溢れ出すサッカーへの熱い情熱は微塵も感じられなくて。サッカーは凄く楽しいスポーツ、円堂くんのプレイはそれで一杯だったから私はずっとそう思っていたけれど、だけどそれはたった一度グランの、ジェネシスのプレイを見ただけで覆されてしまった。サッカーにもいろいろあるのはわかっているけれど、ジェネシスたちのサッカーは酷く悲しく感じて目を背けてしまった。グランが、グランたちが操り人形のように感じて直視できなかった。



「……グランは今楽しい?」



私をあやすように撫でていたグランの手が一瞬、止まる。うん楽しいよ、グランの指先がぎゅっと私の背を握り締めた。グランは円堂くんと関わるようになってから変わってきているように思う。私はグランが好き。グランを見るのがつらい。何もできない自分がもどかしく腹が立つ。いつだってどこだって私は役立たずだ。最近の私は妙に涙もろくなった。グランと出会ってグランを好きになって。感情が表に出るようになった。グランはいいことじゃないかと笑ってくれたけれど。



「……グラン」
「ヒロト、って呼んで」
「……ヒロト」
「何?」
「サッカー、楽しい?」



――…ああ、神様もしいらっしゃるならば無力で愚かなな私の願いをお叶え下さい。グランを深い闇からお救い下さい。サッカーの楽しさを取り戻させてやってください。光を希望を未来を、そして基山ヒロトが愛するサッカーを再び与えてやってください。


余計なお世話と罵られるかもしれない。けど、それでも私は、グランが、ヒロトが嘘偽りなく幸せだと思える世界が訪れることを願ってる。それしか、できないから。





!!!!!
よくわからんなった。カラオケでぽちぽち。





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