ヘイガール!



明王ちゃああーん可愛いよ!なんて不動の背に思いきり抱き付いていったのは桜井ゆい。桜井にとって不動はお気に入りらしい。不動のほうは邪魔!とか離せ!とか暴れているがあれは絶対に本気で拒否ってるわけじゃない。不動は男で桜井は女。普通に考えて不動が桜井を振りほどけないはずがない。男に可愛いなんて言うな!だって可愛いんだもーん。ふん、勝手にしろ!……仲がよろしいようで。いつものように不動は観念し桜井の腕の中に赤い顔して収まっている。明王ちゃん可愛い!桜井は不動の頭の髪の毛のないところに頬ずりなんてしている。汚ねぇ!汚いなんて酷いよ明王ちゃん!だけどそこが好きだよ!……不動は見せもんじゃねーんだよ!なんて周囲を睨み付けて暴言を吐いていたが正直全然こわくない。むしろ可愛らしいくらいだ。あ、ちなみに俺にそっちの気はない。俺が好きなのはサッカーとペンギンだけだ。不動は周りの視線に耐えきれなくなったのかお前いい加減にしろよ!なんてじたばたと再び桜井の腕から逃れようと尽くしてみるものの桜井の明王ちゃんは私が嫌いなんだね、なんて演技にころりと騙されて舌打ちしつつ大人しくなる。なんで演技ってわかるかって言えば声は悲しそうなのに桜井の顔がにやにやと笑っているからである。二人は恋人同士に勘違いされがちたが実のところは違う。不動に彼女はいなかったはずだが桜井に彼氏はいる。いや、この間別れたっけ。あー!後ろで大きな声がしたかと思うと凄い速さでアイツが通り過ぎていった。アイツとは元宇宙人の基山ヒロトである。


「不動くんゆいちゃんから離れてくれない?」

「離れたくても離してくんねーんだよ!」

「なにそれゆいちゃんが好き好んで不動くんに抱きついてるみたいな言い方するね」

「実際そうだろうが!」


基山は不動を桜井から引き剥がそうとするも桜井がそうはいくかと不動の腹に腕を回してがっちりと捕まえているからうまいこといかない。痛いってんだろ!こうした不動と基山の言い合いやらもいつものことだ。人の彼女に手を出すとはいい度胸してるね!だから違うつってんだろ!手を出されてんのはむしろこの俺だってーの!声を荒げる不動と基山。ちなみに桜井は基山の彼女ではない。一方、桜井はというと明王ちゃん可愛いと相も変わらず。頼むから空気読めよ、と。ゆいちゃんを離して!俺を離しやがれ桜井!いつものことながらどうしたものかと俺は他人事ながら頭を悩ませる。桜井がまともになればすむ話だが本人が今の状況を楽しんでいるみたいだからどうしようもない。ゆいちゃん見つけた、桜井の背中に吹雪ががばりと抱きついたのと基山と不動が声を上げたのは同時だった。ちょっと吹雪くん俺のゆいちゃんから離れて!ねえ、不動くん!……お前のじゃねーだろうが。二人とも、僕のことは気にしないでいいから二人は言い合いを続けてなよ。あ、そうだゆいちゃん、新発売のお菓子貰ったんだけど一緒に食べない?え?食べる食べる!じゃあ行こっか。どうやら吹雪のほうが一枚上手みたいだ。連れ立つ二人の後を基山はそうはさせないよ!と追いかけ。不動も新発売のお菓子が気になるだけだ!と追いかけていった。嵐が過ぎた。



!!!!!
複数にしようと思ったらひどいことになった。不動メインがなんか最後吹雪がもっていったよ。佐久間くん視点。



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テーマ「人外ファンタジー」
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