私の好きな人はオールバックで目つきもいいとは言えず、一見、不良のようにも見えるけど蓋を開ければちょっと可愛らしい、そんな普通の男の子だ。オールバックゆえに部員からはデコ見とかハゲとかいろいろ罵られていじられていたりするギャップの激しい男の子だ。私が彼を好きになった理由の一つでもある。辺見渡くん。他校のサッカー部にきつい発言をする場面も多々見受けられるけど、実力は確かだし、なによりも帝国へ思い入れが強いから故だしなあ。



「名字って辺見のこと好きだよな」

「うん、好きだよ」

「気、悪くすんなよ?辺見のどこが好きなんだ?」



やっぱわかんね、と辺見くんの話題を振ってきたのは同じく帝国サッカー部のFWを任されている佐久間くんだった。ちなみに辺見くんはMFね。佐久間くんは女って源田とか鬼道みたいな男が好きなんじゃないのか?理解できないと顔を顰める佐久間くんに人それぞれだよ、と笑いかける。確かに源田くんや鬼道くんは他の追随を許さないくらい人気がある、あ、本人は触れなかったけど佐久間くんもそこにしっかりと入ってるんだけどね。やっぱり顔もいいし、サッカーの実力だってあるからある意味しかたないんだろうけど。成神くんも可愛い!とかで人気あるし。そこに辺見くんが入っていないのが未だに不服だがそれを言うと友達とかにもないないと首を振られる。見た目は怖いけどいい人なのに。見た目で判断するのはいけないことだとつくづく思う。辺見くんは本当にいい人なんだよ!ああ見えて気配り、うまいんだから。



「全部好きだけどね、その中でも特に好きなところがあって、」

「どこ?」

「でこ」

「はっ?」

「だから、おでこ」



頓狂な声を上げる佐久間くんにワザと恥ずかしがるフリをして見せればこればかりはお前の趣味を疑うぜ、と同情するように肩に手を置かれた。失礼だな。



「なんででこ?」

「えー、言わなきゃダメ?」

「ああ、それにしても世界は広いな」

「なにそれどっちをバカにしてんの」

「え、両方」

「ようっし、表でろ」

「まあまあ、落ち着けって。そして俺の質問に答えろ」

「……恥ずかしいんだけど」

「なにか?不順な理由で好きなのか?」



でこに不順な理由なんてあるか?と考え込む素振りを見せる佐久間くんをよそに辺見くんと目が合ったので手を振れば、俺に?と驚いた表情を浮かべて自分を指差す辺見くんにこくんと頷けば辺見くんははにかんで手を振り替えしてくれた。かわいいなあ、もう。私たちの一部始終をちゃっかり見ていた佐久間くんは辺見きめえ、と隣で鼻で笑うようにして呟く。



「で、理由は?」

「……笑わないって約束してくれる?」

「するする」

「……」

「早く言えよ」

「……辺見くんのおでこ、でこちゅーに最適だなって思って」



わかってたけど案の定佐久間くんは爆笑。ひーひーと声を上げる佐久間くんは最終的にげほげほとむせていた。まったく、ひどいやつだ。辺見くんとは大違いだ。でこちゅーって!笑いが収まらない佐久間くんに無視を決め込んで辺見くんに想いを馳せる。でこちゅーしたいとかそんなんじゃないけど少し広めの辺見くんのおでこをしやすそうだななんて見ているうちに気がつけば辺見くんに惹かれて好きになっていた。気の迷いだろ、どこまでも辺見くんを貶す佐久間くんを小突く。愛のある貶しとわかってて、なんだけどね。やっぱり辺見くんが好きだ、ボールを追いかける辺見くんを見て確信した。





!!!!!!
辺見好きです。




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