「別れよう、マーク」



名前に別れ話を切り出された。たんたんとした口調で話す彼女にはもう俺は必要ない。彼女の気持ちが少しずつ俺から離れていっていることは知っていた。そして今日、ついに終わりがやってきたのだ。名前にとって俺は役不足だったのだろうか。他に好きな人ができたの、彼女はそう言ったけどきっとそれは嘘だろう。彼女は嘘をつく際に頬を掻く癖がある。彼女が俺から離れていったのはそう、きっと、俺が至らなかったから。名前に嫌われないように、背伸びを続けてきた。名前に嫌われないように、
名前に相応しいと思われるように、ずっとずっと頑張ってきた。そこが彼女が俺から離れる理由となったのだろう。なんとなくだけど彼女の表情を見きてそう思った。私は私と付き合う前のあなたが好きだった、そして彼女の言葉を聞いて確信した。彼女のためを思ってし続けてきたことは逆に彼女との溝を深めていったにすぎないのだ。今まで楽しかったよ、と名前。ありのままのマークで新しくできた彼女を大切にしてあげるんだよ、去り際にくしゃくしゃと俺の頭を撫でる名前に堪えていたものが溢れそうになって唇を噛み締めた。こうすると抑えきれると思ったから。マーク、名前を呼ばれて彼女を見る。名前は笑っていた。久しぶりに見た名前の笑い顔。ああ、そうか。



「……奪ってたのは俺だったのか」
「え?」
「俺は名前の笑った顔が好きだったんだ」



そっと彼女の頬に触れる。触れているのに触れていないような感覚。彼女の温もりがするすると零れ落ちていく。彼女が遠い。



「名前、俺は、」
「……マーク」



俺の手の上に暖かな名前の手が重なる。名前の目蓋がゆっくりと下りていく。友達に戻ろう、名前の唇が空気を切りさいた。いつの間にか俺をとらえる彼女の瞳はゆらゆらと揺れる。



「それでも俺は名前が好きだ」
「うん、ありがとう。でもね、」
「俺、あきらめないから」



名前に似合うようになったら、とそう口にした瞬間名前にでこぴんを食らわされた。名前が俺を振ったことを後悔するような男になってみせるよ。くしゃり。困ったような名前の表情。困らせてるのは俺。ほんとバカね、彼女は呟いた。俺は彼女が好きだといった飾らないありのままの俺でいよう。そうしてもう一度俺は名前が好きだと言ってくれた俺のままもう一度、今度は間違わないように名前に思いを伝えてみようと思う。




君のために出来ないこと
(頼まれたってあきらめてなんてやるものか)(君のため、じゃなくて俺のために)







!!!!!
お題サイトさまより。
いみわからん。もっと短い予定でした。ちょっと今絶賛スランプ中です。助けて。
文脈がおかしいところがあったら並行してみていた某銀の魂のせい。



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