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「自分が飲みたいと思ったもん、ちゃんと頼めよ」
『だって、可愛くない』
「なら、この中に気になるやつがいるって事だな。そいつに可愛いって思われたいってとこか」
『そ、そんな訳ないじゃん!あははは………』
明らかに動揺し顔が赤くなる。
「……図星かよ」
松田が少し不機嫌な顔をしていた。
なんでそこで松田が不機嫌になっちゃうの。
まさか私に気があったりしちゃったりなんて、ないよね。うん、ないない。
その後みんなで乾杯してご飯食べたりしてたんだけど、あれから松田との会話は無かった。
松田の方をチラッと見ると女の子と話してるのが聞こえた。
「松田くんは好きな人いる?」
松田の、好きな人………。どんな可愛い女の子なんだろ。いや美人さんとか。
同じ警察学校内にいるのかもしれないし、学生時代の同級生かもしれない。聞きたいけど聞きたくない。
その思いとは裏腹に私の耳は、しっかりと聞く体制をしていた。
「……いる」
「へぇー、いるんだ。どんな子なの?」
「見ていて飽きなくて、馬鹿やって笑いあったりして、一緒にいて楽しい奴だな」
そんな子いたんだ。これ以上聞きたくなかった私は、席を立ち部屋を出るとお手洗いに向かった。
『はぁー』
やっぱり私じゃ松田になんか釣り合わない。
松田に好きな人いるなら勝ち目なんてないし、想いを伝えてもフラれて気まずくなるだけじゃん。
せっかく隣にしてくれた萩原には申し訳ないけど、気分が悪くなったと言って先に帰ろうかな。
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