13
『ねぇ、松田ちゃんと聞いてる?』
私は松田に顔を近づける。
「ばっ、ちゃんと聞いてるって」
『本当に?』
「俺はお前が好きで、お前は俺が好き。で今日から俺たちは恋人同士。ってな訳で早く食堂に行くか。飯食いそびれちまう」
松田はそのまま食堂に向かおうと歩いていってしまう。日頃から女の子に告白されまくっているから慣れてるのかな。なんかムカつく。私は走って後ろから松田の腕を引っ張る。
「おわっ、急に引っ張んじゃ」
松田の言葉を遮って軽く唇が触れる程度のキスをしてやった。
『大好きだよ』
「あークソっ。人がせっかく我慢してたってのに」
松田に強く抱きしめられる。異性から抱きしめられる経験が無い上に、相手が好きな人とあって余計にドキドキする。
「なまえ」
いつもみょうじって呼ばれてたし、名前呼びで呼ばれた事は1度もない。急に名前で呼ぶとか本当心臓に悪い。
「顔真っ赤だな」
『急に名前で呼ぶとか反則でしょ』
「お前だって急にキスしてきただろーが。煽った責任取れよ」
『えっ、ちょ』
急にキスされてびっくりした私は目を閉じるのを忘れていた。松田ってまつ毛長いんだな。私よりも肌綺麗だしうらやましい。それよりもキス長くない?息できなくてそろそろ限界。松田の胸元を叩くとキスから解放された。
『はぁっ。死ぬかと思った』
「お前キスする時、息止めてんのか?」
『だってあんな長いキス初めてだし、どう呼吸していいか分かんないんだもん』
「苦しくなったら口開けて呼吸しろ。じゃあもう1回な」
まだするの!?私の心臓持つかな。
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