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「あいつらお互い想い合ってるのに、早くくっつけよ」
みょうじちゃんからは陣平ちゃんの相談に乗ってるし、陣平ちゃんからはみょうじちゃんの相談に乗ってる。2人の間で板挟みな俺すごく頑張ってると思わない?2人を見てるともどかしい。早くくっつけって思う反面くっついて欲しくないと思ってしまう。
「でも思ったよりも、結構きついな」
自分が思ってる以上に俺はみょうじちゃんの事が好きだ。けどこの気持ちに気づいた頃には、彼女は陣平ちゃんを見ていたし、陣平ちゃんもみょうじちゃんに惹かれてるって分かった。あいつの話をしてるみょうじちゃんは、恋する女の子の顔。その相手が俺だったらって何度も思ったけど、大好きな女の子と大好きな親友の幸せを願い、自分の気持ちを封印する事にした。
『萩原、何してるの。早く教室戻らないと遅刻しちゃうよ?』
てっきり先に教室に戻ったと思ってたのに参ったな。この子はほんとに困る。
「ごめん、今行く。……………好きだよ」
『今何か言った?』
「いや。早く松田とくっつけばいいなって」
『ありがとう』
花が咲いたような笑顔。俺が大好きな彼女の笑顔も後何回見れるんだろうか。でも今だけは彼女の笑顔は俺だけのものでいいよね。
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