Precious memories

04

無事に退院した萩原は職場に復帰していた。だが防護服を着てなかったことやタバコを吸っていた事もあり始末書をかかされたらしい。それは萩原が悪い。
退院後美味しい物を食べに行こうと言った、萩原との約束通り3人でご飯を食べに来た。前に幼馴染と食べに来た個室の居酒屋だ。

「みょうじちゃんもしかして俺の奢りだからって遠慮してる?」

「萩原なんかに遠慮しなくてもいーんだぜみょうじ」

『遠慮なんてしてないよ。前に零とヒロとここに来て、また来たいなって思ってたし。それに萩原と松田とならどこ行っても楽しいし』

これだから天然で鈍感なみょうじちゃんは困る。うん。可愛い。松田も「そーかよ」って言いながら照れてる。分かるぞ松田。これは反則だ。






『ふふふっ、ちょっと、はぎわらもまつだもぜんぜん、のんでないじゃん』

どうしてこうなった?
今目の前にいるみょうじちゃんはあきらかに酔っ払っている。今までお酒を飲んでもここまで酔っ払った所は見たことがない。頬も紅く染まり、呂律もあまり回っていない。俺としてはこんな可愛いみょうじちゃんが見れて最高だけど。さすがにこのままお酒飲ませるのはマズイ。松田もそう思ったのか

「おい、みょうじ。もう酒はやめとけよ。お前今日どーしたんだよ」

そう言って松田はなまえの飲んでたお酒を奪う。

『やーだー、まだのむ。まつだ、おさけ……かえして?』

瞳をうるうるさせて上目遣いで松田を見るなまえ。

「っおい。そんな顔してもダメなもんはダメだ」

陣平ちゃん頑張れ、お前なら出来る。俺はこんな可愛いみょうじちゃん見たら絶対お酒返しちゃう。

『まつだの、いじわる』

そう言ってみょうじちゃんは怒っている。怒った顔も可愛い。どうするよ陣平ちゃん。

「はぁ……。この酔っ払いどーするよ。ゼロ呼んで迎えに来てもらうか?」

「それがいいかも。ここは幼馴染でもある降谷ちゃんに任せよう」

俺達は降谷に連絡をし迎えに来てもらった。連絡を入れてから30分後に降谷がやってきた。

「萩原、松田久しぶりだな。うちの幼馴染が迷惑かけたみたいで悪かった」

「降谷ちゃん久しぶり。元気そうで安心した。いや、いつもはみょうじちゃんここまで酔わないんだけどな」

「ここまで酔うこいつ初めて見た」

「たまにこうなるんだ。だからいつも酒の飲み過ぎには注意しろって言ってるんだが。おい、なまえ帰るぞ」

『うーん?れい?』

「ったく、萩原と松田に迷惑かけるなよ。ほら」

手を差し出す降谷。だがなまえは動く気配がない。痺れを切らした降谷がなまえの腕を引っ張る。

『うわっ、れい、きゅうに、ひっぱらないでよ』

「帰ろうとしないお前が悪い。タクシー外で待たせてるんだ。早くしろ」

「みょうじちゃんまたね、バイバイ」

「早く帰れよ。この、酔っ払い」

萩原と松田がそれぞれ声をかける。

『ふたりとも、ばいばい』

「萩原、松田またな」

そう言って降谷はなまえを連れて居酒屋の前に止まっているタクシーに乗り込む。

「なまえ眠いなら、寝てていいぞ。着いたら起こしてやるから」

『うん……れ…い…』

「まったく。これだから目が離せないんだ。おやすみなまえ」

人の気もしらないで呑気に眠る幼馴染。だが幸せそうに眠るなまえを見て暖かい気持ちになった。

「おい、起きろ。着いたぞ」

『うーん』

「はぁ、起きないか。仕方ない」

なまえの膝裏を持ち抱き上げる。家につくと鍵を回しドアを開ける。
そのまま寝室に行きなまえをベッドに寝かせた。

「ほんとよく寝てるな。僕も男なんだぞ。分かってるのか?」

『れい………』

「……おやすみ」

おでこにちゅっとキスをすると寝室を出る。
なまえは穏やかな顔をして寝ていた。
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