嫌いな同期から
気になる女になった瞬間続
みょうじに無理矢理医務室に連れて来られて
手当てをしてもらっている。
こいつの顔を間近で見るのは初めてだ。
まつ毛が長いとか目がぱっちりしているだとか肌が白いとか何考えてんだ俺は。
『はい、もう大丈夫』
「お、おう。……サンキュー。つーかお前さ」
『な、なに?』
「それがお前の素か?」
『あっ………。そ、そうですね』
「ふっ、忘れてたのかよ」
松田の笑った顔初めて見た。いや私以外の伊達班のメンバーとは普通に笑い合っていたんだけど。松田に嫌われてるのは知ってた。ハッキリものを言わないタイプの人間は苦手っぽいし。素の私はどちらかと言えば思った事はすぐ口に出るし、売られた喧嘩は買うタイプだ。だから幼馴染の零とヒロに迷惑をかけたくない。あと面倒事には巻き込まれたくないから猫をかぶる事にしたけど結局は無理だった。というか今さらだけど零と松田がいる時点で、私が猫被んなくても面倒事に巻き込まれてるじゃん。ハハハ。
「何で猫かぶってたか知んねぇけど、そっちの方が俺は良いと思うぜ」
『うん。私も結構しんどかったし、自分を偽るのやーめた。改めてよろしくね、松田』
「っ………」
『顔赤いけど、どうしたの?』
「な、なんでもねぇよ」
『お腹すいたし、早く食堂に行こうよ』
「あー、そうだな」
あの笑顔は反則だろ。
俺がこの気持ちがなんなのか気づくのはもう少し先の話。
To be continued?