嫌いな同期から
気になる奴になった瞬間

※モブキャラが出る上に降谷零の
悪口を言ってるシーンがあります。
ご注意ください。



あいつと出会ったのは警察学校だった。
パツキン野郎こと降谷零の幼馴染だと。
てっきりパツキン野郎の幼馴染だから
気が強いとかヤバイ奴かと思っていたが
どうもそうではないらしい。
第一印象は大人しくて気が弱い女。

『えっと、よろ、しく。松田…くん』

「けっ」

「ごめんね。陣平ちゃん、悪い奴じゃないんだよ。ちょっと恥ずかしがり屋なだけだから」

「誰が恥ずかしがり屋だコラ」

「松田。僕の幼馴染をいじめるなよ」

「そうそう。俺たちの可愛い幼馴染いじめるなー」

「同じ班なんだしお前ら仲良くしろよ」

「へいへい」

頭も悪い訳でもなく体術もそこそこだが
正直言って気の弱い女よりもハッキリものを言う女のほうがいい。
なんでそんな奴が警察官目指してるのか理解出来ない。
こいつ見てるとイライラしてしまう。
卒業までの半年間一緒の班とか最悪だ。
あの時まではそう思っていた。

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隠れてタバコを吸おうと隠れスポットに
向かっていると誰かの話し声が聞こえてきた。

「鬼塚教場の降谷零ってやつ見たか?」

「あぁ、あいつか。金髪のくせに、学年1位とか賄賂でも渡してるんじゃね?」

「あはははっ。それはあり得る。」

なんだよゼロの悪口かよ。
他人の悪口なんて趣味悪いな。
見たことない奴らだし隣の教場か。
しゃあねぇな。
そう思いながらそいつらに
近づこうとした瞬間見知った顔の奴がいた。
みょうじだった。

『あのー』

「「?」」

「へー可愛い子じゃん。どうしたの?俺らに何か用?」

『他人の悪口言うなんて、貴方たちそれでも警察官目指してる人間なんですか?』

「はぁ?なんだよ、優等生ぶるのかよ」

「可愛い顔してるからって調子に乗るなよ」

『……零の事何も知らないくせに』

「何ブツブツ言ってんだ?」

『だから、零の事何も知らないくせに、勝手な事言ってんじゃないって、言ってんのよ!零はすっごく頑張ってて、あんたらなんかよりも人一倍努力してるの!だいたいあんたら恥ずかしくない訳!?こんな奴らと同じ警察官目指してるとか恥ずかしすぎるわ』

みょうじってあんな奴だったか?
あれがあいつの素なのかよ。
良い顔してるじゃねぇか。

「なんだよ、この女」

「うざすぎ。冷めたし、もう行こうぜ」

『ちょっと、待ちなさいよ。零に謝って』

「いい加減にしろよ、このっ」

殴られる。そう思った瞬間私は咄嗟に目を瞑る。
けどいつまで経っても痛みを感じない為
恐る恐る目を開けると松田がいた。

「女に手を出すなんて、男として恥ずかしくねぇのかよ」

「ちっ、面倒くさい奴来たし、早く行くぞ」

「お、おう」

そう言って男2人は足早に去っていった。

「怪我ねぇか?」

『私は大丈夫。あり、がと。あっ!』

「なんだよ」

『唇切れて血が出てる。手当てするから医務室行こう』

「こんくらい別に大したことじゃねぇよ」

『ダメだよ!ほら、早く!』

「おい、腕ひっぱんじゃねぇ」

つーかこいつかなり強引じゃねぇか。
俺はみょうじの事もっと知りたいと思った。
半年間最悪だなんて思ってたけど前言撤回するわ。



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