後悔

警察学校を卒業してから多忙の日々の生活を送っていた。
そんなある日久しぶりに松田から電話がきて私は自分でも顔がニヤけるのが分かった。

『もしもし?久しぶりだね、松田』

「あぁ……」

何か元気がない?仕事でなんかあったのかな?

『どうしたの?なんかあった?』

「みょうじよく聞け、萩原が……殉職した」

『は?』

何言ってるの?萩原が殉職?
チャラくて女ったらしに見えてすごく気が利いて優しくてムードメーカーな萩原が殉職…した?
マンションに仕掛けられた爆弾のタイマーが作動し逃げようとしたけど間に合わなかったらしい。
松田が説明してくれてたけど私は頭の中が真っ白になっていつ電話も切ったのか覚えてなかった。


警察学校時代から松田に片想いしていた私はよく萩原に相談に乗ってもらっていた。
萩原と過ごした日々が走馬灯のように流れてくる。気づいたら私は泣いていた。

『ど…う…してっ、はぎっ…わらっ、まつだをっ…おい…てっ、さきに…いかないでよっ』

朝になるまで涙が枯れる事はなかった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

あれから3年の月日が流れた。
萩原が殉職したと松田から連絡があってから一切松田と連絡をとっていない。
だってどういった言葉をかけていいか分からないから。幸い部署も違うし会うこともない。そう思っていたら前から歩いてくる人影に見覚えがあった。癖っ毛にサングラス、黒のスーツ間違いない松田だ。思いきって声をかけようかそう迷っていると松田の横に誰かいる事に気づいた。同じ刑事課捜査一課強行犯捜査三係の佐藤美和子だ。松田は親友の仇をとる為に、特殊犯係に異動を希望していたが、受理されず捜査一課強行犯捜査三係に異動させられたと聞いた。

風の噂で2人は良い感じだと聞いた。
確かに2人はお似合いだ。
お互い想い合ってるふうに思う。
楽しそうに話してるのを見てると胸がチクリと痛んだ。
今の関係が壊れるのが怖くて告白する勇気もない、ましてや佐藤さんのことどう思ってるかなんて本人に聞けない。
勝手に嫉妬して、ほんと

『ばか、みたい…』

2人に気づかれることなく私はその場を後にした。
この想いは忘れよう。そう胸に誓った。





あれから5日が経ち、
11/7松田から1通のメールが届いた。

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本文

お前のこと
わりと好きだったぜ。
幸せになれよ、バーカ。

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このメールを見て嫌な予感がした。
そしてその予感は見事的中、松田が殉職した。
松田は自分の命と引き替えに多くの市民を救った。
爆発するまでの間松田は何を想って最後を迎えたんだろうか。
親友の萩原の命日と同じ11/7。
理不尽な犯人のせいで2人の命が奪われた。

『なにがっ…、しあわせに、なれよっ………わたし、松田がいないと、しあわせに…なれないよっ……すきだよ、松田っ……だいすきだよっ』

両想いだった。
嬉しいはずなのに、その想い人はもういない。
それなら関係が崩れるのが嫌でうじうじしていた自分は本当に馬鹿だ。
もし想いを伝えていたら何か変わったんだろうか。
そんな事を思いながら今日も私はあなたの事を想い続ける。



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