あの頃に戻れるなら

桜の季節になるとあの頃を思い出す。


警察学校を卒業した私は、警察庁警備局警備企画課に配属される事になった。同じ部署に同期でもある降谷零がいる。降谷とは警察学校時代からの友人でもある。班は別だったけど同じ鬼塚教場で学んだ。初めて降谷零を見たとき私は目を奪われた。金色の髪に、褐色の肌、アイスブルーの瞳。綺麗だと思った。

それから私は降谷零がどんな人なのか知りたくなった。けど人見知りの私は自分から喋りかける勇気がなく、遠目からずっと観察していた。同じ班の人からは「降谷の事ずっと見てるけどもしかして好きなのか?」と言われたが『違う。』と答える。別に降谷に恋愛感情は無い。ただどんな人なのか知りたいだけ。

ある日いつものように観察していると目があった。
あれだけ視線を送っていたのに降谷と目があったのはこれが初めてである。私はドキッとして慌てて目をそらす。しばらくすると人の気配を感じ振り向くと降谷がいた。私はどうしたらいいか分からずにいると彼が声をかけてきた。

「確かみょうじだったよな。ずっと僕の事見てたみたいだけど、何か言いたい事があるのか?」

そりゃあんだけ見てたらさすがに気づかない訳がない。あっちから話しかけてくれた今がチャンスだと思い『私とお友達になりませんか?』と彼に伝えた。

「友達?みょうじは僕と友達になりたくて、熱い視線を送っていたのか?」

『初めて降谷くんを見た時綺麗な人だなって、どんな人か知りたくて。でも私人見知りだから話しかける勇気がなくて……。』

「ははっ、みょうじって面白いんだな。同じ警察官を目指す仲間なんだから遠慮せずにこれからはどんどん話しかけてくれ。」

こうして私は降谷と仲良くなり。必然的に伊達、諸伏、松田、萩原とも仲良くなった。伊達班のメンバーからは私の第一印象はすごく大人しい子だったようで仲良くなってから案外喋る私にびっくりしていた。確かに私は人見知りだが仲良くなれば逆にめちゃくちゃ喋る。そのギャップにおどろく人も多い。仕方ないじゃないかだって人見知りなんだもん。

警察官になる為に勉強の毎日でつらかったが、6人で過ごすようになってから毎日が楽しかった。気づいたら警察学校生活も終わりを告げる。6ヶ月間長いようであっという間だった。私達は警察学校を卒業した。

配属先の関係で同期達と連絡する事はなくなった。でもみんななら大丈夫。落ち着いたらみんなとまた集まりたいそう思っていた。でも気づいたら萩原、松田、諸伏、伊達がいなくなった。もう私と降谷しかいない。同期がいなくなってから降谷の寂しそうに笑う顔を見る度に胸が痛む。

「みょうじまで僕の前からいなくならいでくれ。」

『大丈夫、降谷くんを置いていなくならいから。』


私が降谷を守るよ。私達はまだみんなの所にいけそうにない、だからみんな見守っていてね。
桜の花びらが舞う中みんなの笑う顔が見えた気がした。



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