アンダーザバースデー | ナノ

アンダーザバースデー



17歳になった日に、俺はケーキを食べている。
それは沢村が俺に買ってきたもので、誕生日の定番ショートケーキなんかじゃなくてあの青いコンビニが出してるスプーンで食べるロールケーキ。
練習が終わった後にサプライズとか頭の片隅にもない沢村が「お前誕生日だろ!めっちゃ美味いケーキ食わせてやる!」と自らハードルを上げて俺の目の前に差し出したのは、以前俺がコイツに買ってやったものと同じで。
そこはせめて三角のケーキっぽいの買えよとか、ちょっとは驚かせてやろうとか思えよとか、実はお前が食ってるピンクのロールケーキのが高いんじゃねぇのかとか突っ込みどころは多々あるが俺が一番言いたいのはなんでコイツは「俺が発掘した!」みてぇな顔をしてるのかと言うことで。

食いながらちらりと沢村を見ると目が合って「美味かろう。」と片眉をあげた。いや、美味いけど。
覚えてないんかコイツ。前一緒に食ったこと。

「………。」
「ぁだっ!今何故デコピンを!?」
「なーんでーかなー?」
「虐待だ!」
「よーく考えろ。その足りない頭で。」
「なんだよ、バースデーブルーってヤツ?」
「何それ。」
「今俺が作った。」

そうかい。
ロールケーキを一口掬って沢村の口元に持っていくと条件反射でパカリと口をでかく開いた。
沢村は食い意地が張ってるから口元に食い物持ってこられるとすぐに口を開ける。
前食堂で倉持にピーマンの肉詰めを「あーん」されてたのは記憶に新しいし一生忘れねぇ。
まぁ、あの日の夜はなかなか楽しかったからもういいんだけど。

「うんっ…まーい!」

沢村が頬を緩ませて叫ぶ。
その蕩けた顔があまりにも美味そうだったので、手元にあるロールケーキがさっきより美味そうに見えて一口掬ったけど、さっきと同じ味だった。

「おい、御幸。お前幸せだなぁ!誕生日に!こんな美味いモノを!後輩に買って貰って!」
「……沢村。」
「お?」
「断言してもいい。お前は女にモテない。」
「なんだとっ!?」

沢村が眉を吊り上げる。
これが意外にそうでもないことを俺は知ってるが、願望も込めて呪いをかける。
眉を吊り上げた沢村は難しい顔をして、俺の表情を伺うように覗き込んだ。

「…もしかしてそのロールケーキ好きじゃなかった?」
「は?や、美味いけど。」
「だよなぁ。お前前クリーム苦手だけどこれは食えるって言ってたもんなぁ。」

あれ、前一緒に食ったの覚えてたのか。
全然たいしたことじゃないのに、なんだか褒めてやりたい気になって頭を撫でるとガキ扱いすんなと振り払われた。
面倒臭いヤツめ。

「なぁなぁ、やっぱり倉持先輩とか降谷とか呼んでパパーッとするか!?」
「…勘弁して。」

何のために「誕生日だから部屋くんな」っていろんなヤツに言い触らしたか分からなくなる。
俺の誕生日特需は全て沢村と二人きりになるために使ってしまった。
そんなこと気付きもしない沢村は鼻の頭を小さく掻く。

「や、なんか普段とテンション変わんねぇなぁ、と思って。可愛い後輩が!祝ってやってるのに!」
「…あぁ。」

スプーンを皿の上に置いて手の平で沢村の前髪をかきあげた。髪の生え際。柔らかくて短い髪が生えてるその部分に唇を落とすと擽ったそうに片目を閉じる。

「後輩には別に祝って貰わなくてもいいけど」
「なにをぅ!?」
「『お前に』祝って貰うのは、嬉しいよ。」
「お、おっ…」

沢村が壊れたオモチャみたいに小刻みに揺れる。
相変わらずストレートな愛情表現に慣れてねぇみたいだな。
赤くなって俯く沢村を見てたら可愛くなってきてそろりとTシャツに指を忍ばせようとしたその時。

「あ゛ぁっ!!」
「あ、何?」
「しまった!プレゼント部屋に置いてきちまった!」
「へ?あるの?」
「ふふん!驚いたろう!?」
「…忘れたんだろ?」
「あぁっ!」

沢村が慌てて俺から体を離す。

「ちょっ、今から取りに行ってくる!」
「…ダメ。」
「わ!」

立ち上がろうとする沢村の手首を掴んで引き寄せると態勢を崩した沢村が見事に俺の膝の上に収まった。

「プレゼントはさ、また後でいいから。」
「えー?」
「今は、俺の側にいて。」
「ぇ、えー…?」

沢村が奇妙な声を出す。
しばらくきょろりと瞳を回してたが、観念したのか俺の肩にグリグリと頭を押し付けてきた。
それに応えるように指を耳の後ろに這わせると耳の体温だけが妙に上がってる事に気付く。

「…ははっ。」
「…んだよ。」
「や?…な、プレゼントって何だったの?」
「……スパイク。」
「…うっそ、」
「の、紐。」
「…紐かい。」
「お前この前紐切れてたろ!困ると思ってだな!」
「切れたけど。」

その後すぐ直したし。
人を見てるんだか見てないんだかよく分からんやっちゃ。

「じゃー、来年ちょーだい。」
「はぁ?なんで。」
「んで、来年のプレゼントは再来年ちょーだい。」
「……再来年のプレゼントは?」
「その次の年。」
「……。」
「あてて、」

沢村ががぶりと俺の肩に噛み付いてきた。
言葉に困窮したときの沢村の癖で、少なからず甘えられてるんだろうと思う。

「んで、『プレゼントは俺』みてぇなエロ展開はねぇの?」
「………。」

沢村がぶーたれた面で俺を見る。怒鳴られるのかと思いきや予想外に顎を俯かせた。

「………ある。」
「…は?」

ぽつりと零すなり俺の食べかけのロールケーキに指を突っ込んで生クリームを俺の口の周りに撫で付けた。

「わ、ちょ…」
「ん!」

眉を小難しそうに寄せた沢村が生クリームだらけの俺の唇に舌を這わせる。
熱い沢村の舌が生クリームを全て舐め取ると、最後に小さなリップ音をたてて唇を啄まれた。
顔が離れると沢村の気の毒になるくらい真っ赤な、顔。

「なに、これプレゼント?」
「んだよ!不満かよ!」
「不満に決まってんだろ。」
「………。」
「お前が美味いだけじゃん。」
「え、」

沢村が口を開くその前にロールケーキに突っ込んで生クリームを多量に付けた俺の指をさっき沢村にされたみたいに口周りに撫で付けた。

「な…、ん!」
「こら。舌、出して。」
「ん、む……ふぅ、ん は」

唇を放すと沢村についてたクリームが俺の顔にも等しくついていた。
前髪を掻きあげて額を合わせると沢村が呼吸を整わせるように小さく息を吐く。

「……あまい。」
「は!」
「ん、ぅ!」

また唇を塞いで強引に舌を搦め捕る。
強く吸い付いた沢村の舌はもう生クリームの味はしなかったけれど、俺には何より甘かった。

「ん、あ  ぁ」
「ははっ。沢村、その顔すげぇエロい。」
「馬鹿、言ってん、な…!」

沢村が俺の肩をぐいぐい押し返す。
顔を伺うと困ったように瞳を揺り動かして、唇を小さく結んで俯く。

「……と、」
「は?」
「おめでとっ!!」

まるで喧嘩を売るようにそう言い捨てると沢村は唇を頬に寄せて俺の顔に残った最後のクリームを舐め取った。





おめでとう。
おめでとう。
あなたに会えて
あなたに恋して
こんなにこんなにしあわせなんです。










***
ふおおお、おおおお、おおおおおお(´;ω;`)ふおおお…!!
ふ、ふ、ふ蕗様から素敵な贈り物を頂いてしまいました…!おねえちゃん!←
ふ、蕗さんにはツイッターなどなどいつもお世話になっていまして…最近じゃもう、お姉サマとお呼びしてる(?)くらいお世話になっていて…。
いやもう、蕗さんの妹がこんなに可愛くないはずがない…という駄目女突っ走ってる屡架に、あの!「確かに。」の蕗様が!!
お、おおおお祝い、を…//!!
(あ、私この度ちょっと来年の春に希望が持てることになりまして…ごにょごにょ)
お祝いに御沢を!!お祝いに御沢を!!!!(これ大事なこと)
見た瞬間に発狂してご近所に通報されるかと思いました。されませんでした。よかった。(真顔)
あああああ沢村可愛いいいいい御幸かわいいいい←

しかも私が某青いコンビニでアルバイトしていたことも覚えていてくださったの…!…ロールケーキ懐かしすぎて泣きました←
一回廃棄でビニールいっぱいに貰ったことあるけど、消費期限切れるから廃棄になるのであって、かといって一晩で食べたら確実に肉に変わるぐらいの量があって、一体どうしようかと思った思い出もあるロールケーキ…。でも美味しいよアレ。クリームだけ最後に食うのは私だけではないはず。

蕗さんの沢村って本当に可愛いですよね…!連れて帰りたいくらい可愛い。道端で帰り道に声かけて連れて帰りたい。
御幸も…エロい…//帰り道に沢村拾ってるところが見たい…。ぐぐぐ…!!

もう本当に御沢二人とも凄く大好き過ぎてそして蕗さんが大好き過ぎて!
本当に本当にありがとうございます…!!もう大好きとお礼を何度言っても足りず…//
お嫁に頂いた二人はもうしっかり抱きしめて離しません。大切に幸せにします(`・ω・´)ゞキリッ!
皆様も一緒に…素敵で愛らしい御沢を堪能しましょう…!


本当にありがとうございました!大好きです!ぎゅうっ(´∀`*)!




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