東京オフ記念 | ナノ

東京オフ記念



「ん?何、御幸。」
「お前はー、もう好い加減名前で呼べよ。」
「嫌。無理。お前またそれかよ。」


情事後のベッドでまどろむ沢村に御幸は、ここ最近ずっと口にしていることを懲りずにまた言ってきた。

「だってさ、あの最中だと普通に呼んでるじゃん、一也って。な、栄純。」
「最中って…ふ…ふざけるな。誰も呼んでねーよ。お前のことなんて。」
「あ、そっか。いつも気持ち良いから、無意識に呼んでんのか。今日だってな〜。」
「な…。俺、知らない。」

ニヤニヤする御幸にムッとしながらも、情事中のことなんてほとんど覚えていない沢村は、何も言い返すことが出来ず、せめて赤くなった顔を御幸に隠しておきたいと思い枕に顔を沈めた。

「栄純な〜栄純、こっちむけよ。」
「絶対に嫌。もう誰かさんのせいで疲れたから眠るんだよ。おやすみ。」
「満足してくれてるみたいで良かったよ。あ、そうそう、約束忘れるなよ。名前呼び。」

明日が土曜日で、また東京では珍しい雪のため練習がなくなり、久々の情事で横になったことで一気に眠気がきて、うとうとし始めた沢村は御幸の一言で覚醒した。

「はぁ?何それ!?」
「ん、どっかの誰かさんがー、どうしても欲しいっていうからー、あげるかわりにー、明日から名前で呼んでって言ったら、うんっていってくれたんだよねー沢村栄純君。男に二言はないよね?ってことでおやすみ。御幸って呼んでも明日から返事しないから。」
「語尾を伸ばすなって、お前ズルイ!!起きろ眼鏡!!」
「あ、眼鏡でも返事しねーよ。ほら、寝るぞ。」
「うわぁっ」

覚醒し興奮したものの、御幸にぐいっと布団の中へと引っ張られ、御幸と布団の温かさ、情事の疲れで、あっという間に沢村は、眠りについてしまった。


沢村が目覚めるといつもだったら、絶対に寝ている御幸は、珍しくすでに起きていて部屋に居なかった。
ふと枕元の携帯を見てみると、30分ほど前に御幸からのメールが届いていた。
倉持から、部屋を譲った礼でノートを貸せ。朝一で持って来い。持って来なかったら今晩の部屋を貸さないっと連絡がきたとの内容であった。

「腹も減ったし、食堂に行くかな。」

ちょっと腰をおさえつつも、沢村はぱっと着替え食堂に向かった。勿論、すっかり御幸との昨夜の約束なんて忘れて…。

「おはようございます。あれ、御幸いないんですか?」

食堂へ着くとちょうど御幸以外のいつものメンバー…倉持、降谷、春市が、各々お盆を持って席につこうとしていた。

「おはよう、栄純君。先輩なら、監督に呼ばれて行ってる所。ついでに栄純君を起こしに行って来るって。…あ、先輩来たよ。」
「お前、起きたら連絡入れろよ。呼ばれがてら、ついでに寄ったのによー。」

きょろきょろしている沢村に春市が声をかけた所で御幸が、帰って来た。
倉持、春市は内心どっちがついでなんだかっと思ったが口には出さなかった。

「食堂に行けばいると思ったからさー。まぁ、会えたから良いんじゃん。さっさっさと食おうぜ!!」

いつものこのメンバーがそろうと御幸、倉持、その前に沢村、春市、降谷といった順番で座るのが、一番面倒ではあるが、落ち着いて食事が出来る順番であった。

「お。茶持ってくんの忘れた。お前らいるかー?」
「先輩、オレ行きますよ。」
「ん。気にすんな。たまには動かねーとな。」

御幸の一言にすぐに反応したのは、やはり春市であったが、既に御幸が立ちあがってしまっていたので、大人しく席についた。

「御幸、オレの分よろしくー。」

沢村の一言に便乗するように、倉持、降谷が手を上げた。
「了解。」の意味で手をあげた、御幸はにやっと笑っていたが、その表情には誰も気がつかなった。

数分後、戻ってきた御幸の手には、3つのお茶しかなかった。「ほいよ。」っと倉持、降谷に渡すと、残りの1つを自分のお盆の上に載せ座ってしまった。

「え?オレの分は?」

皆が「え?」っとしている中、一番に頼んだのに持ってきて貰えなかった沢村は、ニヤニヤとしている御幸にムスッとしながら文句を言った。

「ん、だってー誰かさんがー約束を守ってくれないから。」
「約束って……て、てめーふざけるな。」
「ふざけてません。約束破ってるのそっちだし。オレ悪くないし。」
「この変態似非笑顔の眼鏡ヤロー!!」
「誰に言ってるか分かりませーん。」
「なんだと!!。」


沢村がキレながら御幸は目の前の朝ごはんを食べ始めた。
御幸と沢村のバカップル騒ぎは慣れっこなので、倉持・春市・降谷は勿論、青道メンバーの誰も二人の会話にツッコムものはいなかった。


「お前なんて変態似非笑顔の眼鏡と帽子が無いと誰だ変わらない人っで十分だ!!」
「あ、倉持醤油取ってー。」
「人の話を聞け!!洋一先輩じゃない方!!」
「はぁ?」

良い加減、話を聞かない御幸についにばんっと机を叩き沢村は立ちあがり、思いっきり叫んだ。
頑なに御幸の名前を呼ばないのに倉持の名前を呼んだことは、いつも沢村の倉持へのなつきっぷりをとてもとても気にしている御幸にとっては、完璧に地雷でだった。

「お前さ−、ふざけるなよ」
「ふざけてなんかないよ。洋一先輩じゃない方のセ・ン・パ・イ」
「倉持の名前を呼ぶんじゃね―よ」
「ちょ、沢村、お前落ちつけって。御幸、大丈夫だ。俺だって呼ばれたくない」

ムッとしながら顔を上げた御幸に沢村はしたり顔をし、そしていつもそれについて愚痴られている倉持は、巻き込まれては堪らないっと沢村・御幸を落ち着かせようと試みたが、倉持の言葉は二人には全く届いていない。

「よりによって倉持はないだろ」
「だって洋一先輩としかいつもいないじゃん。」
「何――!!!!お前、覚悟は出来てるんだろうな。」
「お前らいいかげんにしろ。とにかく静かに飯を食え。で、食い終わってから外でやれ。そしてやるなら人を巻き込むな。」

話を聞かない二人にいい加減にしてくれっと倉持の叫び、御幸、沢村反論しようとしたが、ギロっと倉持に睨まれ、しぶしぶ席に着き大人しく食事を開始したが、それは一瞬しか保たなかった。

「あ、春市。」
「はい。醤油。」
「ん。ありがと。」
「どういたしまして、暁君」

付き合ってすぐに名前呼びをし始めた二人。それが御幸の沢村への名前呼びをしつこくお願いする原因の一つであった。

「オレらよりも後に付き合った二人が名前呼びしてんじゃん。しかも何も言ってないのに、醤油取ったし!!」
「あいつらと一緒にするなー」っと再び賑やかしく始まってしまった。


「火に油を注ぐな!!そこのほわほわバカップル、タイミングを考えろ!!」

今日も青心寮は元気です。







***
私は スキル:おねだり を 会得した(キラン


紫桜三咲様より頂いてしまいました…!!御沢と降春のほわほわ可愛いラブラブ小説です…!
東京にてオフ会お相手して頂いた三咲様に、「書いて…欲しいなぁ…(じいー)」と厚かましいお願いをしまくった結果、女神な三咲様が快くノートに神文を書いて下さいました…><
本当…遠慮という言葉が辞書から抜けていて申し訳なく…!
ですが私GJ…!!もう、本当素敵ですえへへ、素敵過ぎて涎が止まらず…!
こう、「御幸の事を、“じゃない方の先輩”って呼ぶ御沢可愛いよね」と盛り上がったことから派生した素敵小説です…!
ほわほわバカップルこと、降春も素敵に可愛くてもうお姉さん5人ともお持ち帰りしたいのですがどうやったら寮にたどり着けますか…!!
まぁたどり着けたらつけたで…警察に通報されそうなので、残念ですが遠くから見守っています…。しょぼん。
それにしても神様というのはノートに書く字も綺麗なのですね…もう字面からして整っていて尊敬するばかりでした。

本当に素敵な小説ありがとうございました!
もう幸せすぎてお腹いっぱいです…><幸せです!本当に大好きです!
三咲様、これからも末長く仲良くして下さいね…!





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