合作オフ記念 |
手の平に乗る小さな銀色。どこにでもある平べったいそれが、こんなにも重いものになるなんて、俺はこの年になるまで知らなかった。 「栄純、起きてんの?」 「…ん?んん…。」 「寝てたろ。ちゃんと布団入れって。体が冷えるだろ。」 「んー…。」 酷使された体に残るのは気だるさ。部活後に感じるどこか爽快感を伴った疲労感とはある意味真逆のそれは随分と慣れ親しんだ感覚になった。 「ほら、こっち。自分で動けよ。」 「ん、うー…。」 ばさり、と捲られた掛け布団。ぐずるような俺を持ち上げてベッドにころがして、またばさっと少々手荒にかけられる。 ひんやりとしたシーツが心地いい。清潔に保たれたホテルのシーツの、どこかよそよそしい感触に、火照りがおさまっていく。 「栄?」 「…んう…?」 「まだ、ダメか…?」 「…。」 何が、とは言わない御幸の言葉から逃れるように枕に顔を埋める。 小さいため息が聴こえた。 財布の中にある1つのカギ。他でもない、今隣に腰掛けて居る男の部屋のカギ。 人気絶頂のプロ野球選手――ーそれが今のこいつの肩書き。 ファンから、マスコミから、それどころか野球にあまり興味が無いような一般の人たちからも注目されるこいつが抱える唯一で最大の弱点は、俺だ。 後輩、なら問題無かった。どれだけ仲が良くても。 でも恋人、だから。許されないと思った。 「来ればいいんだよ…。」 御幸の声は小さくて、聞こえないふりは簡単だ。 しかしどんなに小さくても、俺の耳はこいつの声を聞き逃さない。ただ、応えないだけ。 「なぁ、俺が不安?」 ギ、とベッドが鳴く。少しだけ感じる布団越しの重み。それと同じだけの愛しさ。 それが不安だ。いつか俺は、自分の存在そのものでこの愛しい男を破滅に追い込んでしまう。 「俺は弱くねぇよ?」 知ってる。あんたは強い。その強さにも惹かれた。 でも俺が弱いんだ。あんだと張り合うだけの強さも、あんたに全てを預ける強さもない。 「――でも、我慢強くはないんだよなぁ。」 「わっ、」 ガバッと布団を剥ぎ取られた。 何、と思う間に、ぎゅう、と抱きしめられる。 「俺の家来いよ、栄。俺のベッドで乱れるお前が見てぇ。」 「〜〜l!!アホ!」 「知ってるしー。」 アホだ、バカだ。自分から危険を抱こうなんて。 「俺の強さの素ってお前なんだよ。知ってた?」 「…。」 「お前がいたら無敵。な?だから俺んとこにおいで。」 アホだ。バカだ。 俺を落とす天才め…なんて憎らしい。 「どうなっても知らねぇぞ。」 「お前とならどうとでも。お前だけはしっかり守るさ。守備は得意ですから。」 「ばーぁか。」 明日の朝一番に、財布に眠るあの銀色を、キーケースに移そうと思いながら、閉じた瞼に優しい唇が落とされた。 *** み、さ、わーーーー!!!ぎゃーーん萌え…!!ぎゃー!←叫ぶ オフ終わりに「しあこさん、なんか書いて欲しいな…えへ☆」←とてつもなく図々しいるかさん …と、うっかりノートを差し出してみたら、宝物を頂いてしまいました……ナンテイウコトナノ…(・А・)!!! うっかりと「ホテル…な、御沢…とか…」と呟いた言葉まで拾って頂いて…まさに、女神…!! あわあわ、私どうしたら、あわあわ!!とにかくもう素敵でした。最初から最後まで一貫して素敵でした。女神でした。大好きです。もちろんええ大好きですとも! 本当にありがとうございました…! 強奪してしまって本当にすみませ…!素敵過ぎて鼻血が出ました…うう…! 本当に本当にありがとうございます!大切にします…! [←] |