*キャプテン御幸×マネージャー沢村♀ 【リクエスト品】 「キャー!!!」 穏やかな昼休みの始まり。 今日の弁当は、俺の好きなものばっかりだって母さんから言われてたから、楽しみにわくわくしながら席を立つ。 春乃達といつも通り一緒に食べようと教室内を見渡した瞬間、教室の入り口の方から耳をつんざくような悲鳴が突然教室に響き渡った。 何事かと思ったのは俺だけじゃなかったらしく、昼を始めようと各々ざわめいていた喧騒が一瞬ピタリと止んで、殆どの視線が悲鳴の上がったほうへと向く。 そこに見えた姿を認識すれば、自分でも信じられないくらい大きな声が静かになった教室に落ちた。 「げ、え…!!」 その声で俺に気付いたのか、はたと目があった眼鏡の奥の視線とぶつかる。 「沢村さん…、あれって御幸先輩じゃ…。」 「みなまで言うな!春乃!!」 同じように俺を探してくれていたのか、いつの間にか近くに来ていた春乃が、ぼんやりとかけてくる声を遮れば、え?え?と俺の反応に疑問符が飛んで来る。 俺はというと、とりあえず教室の後ろのドアに視線をやって、逃げる算段を頭の中で整えた。 (ヤバイ、これはヤバイ…!) お願いだから、変なこと言うな。言うなよ、クソメガネ…! 祈るような気持ちで心臓をバクバクさせてた俺に、だがしかし非情なまでにはっきりとした声が届いた。 「沢村さーん!か、彼氏来てるよー!?」 (ギャーーーー!!!) な、なななななんてことだ!! 一気に教室がざわめく。 沢村って彼氏いたの、え?御幸先輩?、あれって野球部のキャプテンだよな?、そんな声が周りを飛び交うのが聴こえて、一瞬でこの場から消滅したくなった。 変なところどころか、御幸が落として言ったのは、街一つ消し飛ばしそうなほど壮大な爆弾。 もっと…もっと早く逃げるべきだった…。 俺の後悔の念なんて全く届いていないのか、教室に入ってきた御幸が小さく手を振って来る。おーい、沢村―?なんて問いかけられるけど、俺はそれどころじゃない。 「…なんで来てんの!?」 「えー?一緒に昼食べようかと思って。」 「じゃあ、メ、メールとかしてくれたら…!」 「お前メール返って来ねーじゃん。」 「だ、だからって…!」 別に彼氏とか言わなくても普通に呼びだしてくれればよかったのに! つーかお前は普通に1年の教室にいるだけでも目立つのに!! ぶるぶる体を震わせながら、声にならない叫び声を飲み込んで俯く。 ……うう…教室中の、視線が痛い。好奇の視線に耐えられない。 「それに、さ。」 そんな俺の様子を暫く黙って見て居た御幸が口を開く。 そうっと見上げると、そこにあった何とも楽しそうな悪魔の笑顔。 「折角付き合い始めた次の日くらい、ずっと一緒に居たいと思うじゃん?」 そんな御幸の言葉が、にっこりと綺麗な擬音が背後に付きそうなくらい整った笑顔と共に呟かれた瞬間、再び上がる悲鳴を全身に受けながら、俺は御幸の首根っこを引っ掴んで走り出していた。 …とりあえずは、空いているもう片方の手に、忘れず弁当を引っ掴んで。 ------------- 2月21日に、「キャプテン御幸とマネージャー沢村が校内でこっそりイチャイチャしている話」をリクエストして下さった方に捧げます。 …すっかり、いつの間にか、こっそり、の要素が抜けていたなんてそんなまさか…!(すべては御幸のせいでs(ごふ というわけで明日の話でこっそりイチャイチャさせます…!あわあわ…!! リクエストありがとうございました!御沢愛! そしてリク主さまにも沢山の愛を! [TOP] |