40days 御沢祭 | ナノ
24days 御沢祭
LOVE! LOVE!!LOVE!!!
11.02.20〜11.03.30までは御沢の日!40本御沢!
御沢も皆も大好きです!




愛のかたまり



*芸能パロ




付き合い始めて知ったこと。
…というか、改めて気付いたこと。


御幸は、ものすっごく過保護だ。
それは時々、めちゃくちゃうぜぇって暴れ出したくなるくらいには。


「だめ。」


別に怒ってるわけじゃねぇのに(むしろ何となく顔は笑ってる)、その一言だけをさっきから何を聞いても断固として返してくる御幸の無言の圧力に、俺も負けじと顔を引き締める。
ソファに座る御幸と、それを立って見下ろす俺。
両者一歩も引かない無言の戦いが繰り広げられ、かれこれもう数十分。

そうだ、もういっこ気付いたこと。
御幸は案外負けず嫌い。
…もちろん、俺も相当だけど。


「なんで駄目なわけ!?」
「大体さ…栄…、…沢村くんは、ちょっと危機感が足りなさすぎる。」


…名前呼び直しやがったな…。
これは相当お怒りのご様子。


「危機感も何も…、」
「ちゃんと分かってる?沢村くんは、アイドルなんだよ?」
「…わかってる、…け、」
「けどじゃない。」


今度は遮りやがった…。
普段は飄々としてて、俺には何だかんだで甘い(らしい。他人談)御幸がここまで強情な時は、絶対に譲る気が無い時。
だけど、今回ばっかりは譲って貰わないと困る。
これからの俺の生活がかかってるんだから。

一歩前に出て、更に御幸に近づく。
すると顔を上げる角度を上げた御幸が、自然と上目使いに俺を見た。
…う…。無駄に男前…。
震える睫毛がバッサバサに長くて、そういえばこいつってモデルだったんだっけ、と今更なことを考える。

ハッとして頭を軽く振ってその思考を誤魔化して、キッと御幸を睨んだ。



「いいじゃんか!別に!!移動に電車使うくらい!!」


俺の大声に、御幸は表情一つ変えない。
それが更にむかついて、俺は唇を突き出して頬を膨らませた。

しばし落ちる、沈黙。
少しして、はぁ…と御幸のため息が響いた。


「だから、駄目だって言ってるだろ。」
「なんで!?」
「なんでも。…許せるわけないだろ。電車なんて。」


至極真面目な顔になって、御幸がため息を共に漏らしたのは、さっきからこれまた幾度となくきいた言葉。
全く変わらない返事に、流石に仏の俺も苛々してきた。


だから。


「御幸は過保護過ぎんだよ!!」
「なんで?過保護じゃ駄目なの?」
「駄目…っていうか!大体、移動の電車くらい前から使ってたし!けど、なんもなかったし!」


…そう。
最近、仕事の話をしてるときに、現場までどうやっていくのかって話になって、俺が歩きとか電車とか、といえば、あろうことかそれに御幸が噛みついてきた。
そこで発覚したことだけど、御幸の移動は大抵、マネージャーさんの車か、タクシーだそうで。
さすが、小さいころから芸能界にいるやつは違うな、って、俺は感心したくらいだけど、御幸はそこで終わらなかった。

電車は危ないとか、なんとか言い出したかと思ったら、俺にタクシー使えだなんて言い出す始末。

元々田舎育ちの俺は、そんなブルジョアな考えには賛同できない。
それに、青道のやつらだって結構みんな公共交通機関使って来てるやつ多いし、俺が毎回タクシーなんか乗り付けてたら、倉持さん辺りに絶対なんか言われるっつーの!


「前と今じゃ状況が違うだろ。今、その辺普通に歩いてれば、すぐに囲まれるくせに。」
「う………。で、でも!倉持さんも春っちも、普通に来てるし…!」
「降谷はタクシーだろ。」
「それは降谷を電車に乗せると、アイツ目的地まできちんと来れねぇから…!」
「だったら沢村くんだってタクシーでいいじゃん。」
「だからなんでそこがイコールで繋がるかわかんねぇっつってんの!」
「なんで?簡単なことだろ。」
「はあ…?」


喧嘩腰な俺と、呆れ顔の御幸。
最近この話題になると、すぐにこんな状態になる。すぐに喧嘩になるから、ちょっと面倒。
でも俺が降りる気はさらさらない。

だって毎回タクシーだなんて、そんな。
お金が…とは言わねぇけど(まぁ最近はそれなりに仕事も増えてきたし)、でもやっぱり自分の足で仕事に行くって言うのも俺的には結構大きいことであって。
なんていうか、…まぁ、実はそんなこだわりあるわけじゃねぇけど、でも。


(なんか、…なんかさ。…言いなりになってるみたいで、嫌というか。)


「とにかく!明日も俺は電車で行くし…。」
「…それは仕事に行けなくしてほしいっていうお誘い?」
「ちげーよばか!!」
「っていうか、なんでそこまで嫌がるわけ?この前だって出先で囲まれて、苦労してただろ。」
「それ、は…!」
「倉持や小湊みたいに、上手くファンの相手出来る?沢村くん。今急いでますから、の一言すら言えないのに?」
「…やろうと思えば出来、」
「そのセリフ何回も聞いた。」
「うう…!」


…御幸を口で負かそうなんて、俺には到底無理な話。
すぐに追い詰められて、二の句が告げなくなる。
大体こいつはなんでそこまで、電車を嫌がるのか。


「アンタさ…なんでそこまで過保護なの。」
「そんなの、沢村くんが大事だからに決まってるじゃん。」
「…心配し過ぎ。女の子ならまだしも…。」
「女とか男とか関係ねーよ。俺は沢村くんだから、心配もするし、過保護にもなる。俺は沢村くんの彼氏なんだから。」


無駄に男前な顔が、真剣な顔をして俺を見る。
眼鏡の奥にある強い瞳。それに捕らわれると、なんだか反論出来ない。
開こうとした口からは言葉が出てこなくて、そんな俺を見た御幸が、もう一度ため息をついてから、少し体を浮かせて、そのまま立ちすくんでいた俺の手を引いた。


「う、わ!」
「…なぁ、お願いだから、あんまり俺を心配させないで。」
「だから、大丈夫だっつってんだろ…。」
「俺が大丈夫じゃない。」
「子供か。」
「子供でもいいよ。」
「…この甘えん坊。」
「それでもいい。」


ストンと腕の中に納まって、ぎゅうぎゅう抱きしめられたら、身動きが取れない。
最近更に、過保護というか甘えたがエスカレートしてる気がする。…ある意味で我儘とも言う。
そうか。ストーカーはエスカレートするとこんな風になるのか。

だけど、それを結局は許してしまう、俺も俺だ。
たまには心を鬼にしないと!御幸の言うことばっかきいててたまるか!…と思うんだけど。


「…な?だからお願い。栄純。」


思えば俺は最初から、御幸に押されると弱い。

念を押すように、耳元でささやかれる、“お願い”。


「…かんがえとく…。」


ぽつんと落とした言葉に、俺を抱きしめる御幸が嬉しそうに笑ったのが分かった。


(…言っとくけど、考えとくだけだからな。)


腕の中で、小さくため息をつく。
…ああそういえば、もうこの温度にも、包まれる香りにも随分と慣れて、最近じゃ意識しないと気付かないようになった気がする。
俺と、御幸の。
両方が混じった家の空気はもうとても自然で、御幸と暮らしだす前はどうだったのか、随分とあやふやになってしまった。


朝起きた後どうやって。
(今は、まずは、おはようの一言から始まる。)
家に帰った時はどうやって。
(今は、早い方が家事のいろんなことを片づける。)
夕飯食ったあとは、何をして。
寝る前には、何をしてたのか。

多分それなりに色々してたんだけろうけど、今はなんだかもう遠い昔のことのように思えた。
…それはまだ、そんなに昔のことでもないはずなのに。


だから、かも。


御幸の言う通りにばっかりしてると。
何だか自分が御幸一色にどんどん染まっていく感じがして。
それがちょっとだけ、怖くて。
今でさえも、そうなのに、。

だって、それが普通になってしまったら。
俺の生活に全部、御幸が絡むようになったら。どうなるんだろって。


(怖いんだ、俺。多分。…どこもかしこも、御幸の息がかかること。)


でもそんなこと言ったら怒られそうだから、言わない。
けど、俺を抱きしめる御幸の腕の力がいつもより強かったから、ちょっとバレてんじゃねーかなとかも思う。


「…心狭くてごめんな。」


わかってんじゃねーか、バーカ、とは返せなかったから、変わりに俺も御幸の背中に手を回した。



別にタクシーにしてやってもいいか、と考えてる辺り、やっぱり俺は、どうしようもなく御幸に甘い。









--------------------------
続く、…かも。(かも?

いつもお世話になってる方に前々から行ってた、某アイドルユニットの曲からイメージした御沢。
ホントはもう一個書きたいシーンがあったけど、長くなりそうだったので割愛。
書けそうだったらそこ書きたい、なぁ…。とか。
っていうか、微妙に喧嘩して終わっちゃってるから続きたい(希望)








[TOP]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -