40days 御沢祭 | ナノ
24days 御沢祭
LOVE! LOVE!!LOVE!!!
11.02.20〜11.03.30までは御沢の日!40本御沢!
御沢も皆も大好きです!




その後の二人の設計図



* 「明るい家庭の作り方」の続きです。
御沢ホームデートネタリベンジ。



「まぁ、セキュリティとか考えるならマンションなんだろうけどさ、やっぱ庭付き一戸建てだよなァ。」
「…。」
「二階建ても理想。あ、つっても寝室はもちろん一緒だけど。」
「…。」
「なぁ、聞いてる?沢村。」
「…きーてまーす。」
「なんだよ、やる気ねぇなぁ。」


…やる気も何も。


なぜか隣で一人テンションを上げる御幸に適当に相槌を打ってたら、思いっきり爽やかに笑われたんですが。
一体御幸さんは何をそんな一人で楽しんでいらっしゃるんでしょうか。

俺らの間に落ちるはっきりとした温度差にため息をつく。
けれどそんな俺にも気付かないのか(いや多分こいつは絶対気付いてるけど無視してやがる)、ただ楽しそうにきょろきょろ周りを見渡していた。

その、子供のような様子に、お前はガキか、ってつっこんでやろうかと思ったけど、何とか我慢。
…だって今ここにいんのは、俺と御幸だけじゃねぇから。


「いかがですか?」

柔らかく、丁寧な声が降って来る。
顔を上げるとそこ居たのは、毎日クリーニングにでも出してるんだろうかと思わんばかりの皺一つないスーツを着た男の人。
隣でへらへら笑う御幸とはまた違った、にこやかな笑みを浮かべているその人に、曖昧な笑みを返す。
接客業としては満点に花丸も乗っけたいくらいの素晴らしい対応だが、俺は今その対応が妙に胸にグサグサ刺さる。


が、そんな俺の良心の傷つく音も完全無視な御幸は、なぁなぁ沢村、ベッドはシングルサイズとダブルサイズどっちにすべきだろう、なんて本気で悩んだ風な声で広い空間を凝視しながら問いかけて来やがった。
…こいつの足元だけ床抜けねぇかな。

いや、駄目だ。
折角綺麗に作り上げてあるモデルルームの床が抜けたりなんかしたらいろいろと更に申し訳ない。


「…シングルで寝て、蹴り落とされちまえ。」
「お。沢村は狭い方が好み?マニアックー。」
「もうお前このままここに置いて帰ってやろうか…。」
「そんなにこのモデルルーム気にいったなら買い取、」
「冗談は寝てから言え!!」
「沢村、それ言うなら、寝言。」


バカだなぁ、なんてそんな顔した奴に言われたくないんですが。ええ。

そんなやり取りをしてる俺らの前から、クスリと小さな笑い声が聴こえた。
音のした方を見れば、そこには、少しだけばつが悪そうに口元に手を当てる、担当の人。
「申し訳ありません」って謝られて、更になんか妙に恥ずかしくなった。


「い、え!」
「失礼いたしました。…仲が宜しいんですね。」
「こ、高校から部活関係で付き合い長いんすよ!ははは!」
「まぁ、こうやって一緒にモデルルームの見学に来るくら、」
「アンタはちょっと黙れ!」


ちょっとだけ前歩いてた御幸の膝を後ろから軽く蹴ってやったら、思いのほかその体がよろけた。
なるほど。膝かっくんってのは随分と考えられた攻撃法らしい。
そんな俺らの様子に、クスクス笑う担当者。
…変な風に取られてたら、御幸マジ絞める…!


確かに今日はモデルルームの見学に御幸に引っ張られてやってきたけれども!…しかも元々は自分が巻いたタネ…だけども!
一応名目は(御幸はそんなの必要無いって言うけど俺の気持ちの問題だ)、御幸の新居の下見。俺は付き添い。
まぁ当の御幸は、デートだって言い張るけど。違う、俺は付き添い。


「でさ、沢村。」
「あ?」
「二階にダイニングと、リビングと和室あってさ、二階に3部屋も洋室あると部屋余るじゃん。」
「…まぁ、二人で住むんならな。」

(あくまでお前と“仮想彼女”の話。うんうん。)

「じゃあそのうち1つを書庫にするってのは?」
「書庫?…アンタそんなに本読むっけ?」
「スコアブックとか資料とか。」
「…ああ、まぁ、それなら、いいんじゃねぇ、の?余ってんだし。」


真面目に返すのもなんだかくすぐったいし違和感があるけど。
…しかも結構真面目に考えてんのかコイツ。遊び半分からかい半分で連れてこられたと思ってたのに。(あれ、これじゃ全部遊びじゃね…?)

ちょっとだけ見直したりしなかったりしていると、ふ、と今までへらへらしてた御幸の顔からその笑みが消えた。
ん?


「……それにさ、」


なぜか御幸が内緒話でもするかのようにこそこそ耳打ちしてくる。
その顔が妙に真剣だったから、俺もちょっとだけ身構えて、先を促すように見返した。
幸いなことに、一通り部屋の説明を終えた担当の人はあまりこちらに干渉してくることはないらしく、今もちょっと視覚でそんなに見えない。
何、と言えば、実はさ、と神妙な面持ち、固い声で返される。


「…やっぱ、書庫って男のロマンじゃね?」
「は?」
「こう、梯子とか置いてさ。なんてーの?立った状態で、」
「おおおおおいしょーー!!」
「うわ、ちょ、なんだよいきなり。」
「なんだじゃねぇよ!いきなりはこっちだ!何言ってんの?なぁアンタ何言ってんの!?真剣な顔で何言ってんの!」
「至極真面目な将来設計ですが何か。」
「………。」


もう、駄目だコイツ。


真剣に次の部屋の説明をしてくれる担当の人と、御幸のどうしようもない頭の中を比べて、長く落ちたため息に一人項垂れて、とりあえず心の中で何度も何度も担当の人に謝りながら、「是非ご検討くださいね。」と浮かべられる営業スマイルにラスト一発を食らった後、今日一番のビンタを思いっきり御幸に喰らわせた。



…一緒に住もうって言われても暫く絶対拒否してやる。バーカ!










--------------------
リベンジしたら更に申し訳ないことになった感が否めない(真顔)










[TOP]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -