40days 御沢祭 | ナノ
24days 御沢祭
LOVE! LOVE!!LOVE!!!
11.02.20〜11.03.30までは御沢の日!40本御沢!
御沢も皆も大好きです!




春よ恋春の恋



* 御幸×♀沢村 幼馴染
【リクエスト品】



「お前さ、野球部のマネージャー本気でやるつもり?」


ぽつり。
休日、練習オフってことで俺の家に遊びに来ていた一也が、今までにらめっこしてたゲームから顔を逸らすことなく突然そんなことを言うので、え?と読んでいた漫画から反射的に顔を上げた。
そのまま、ぽかんと間抜けに口を開いたまま、その背中を見つめる。


「え、やるけど。ずっと言ってたじゃん。青道に入って野球部のマネやるって。」
「マネージャーは野球出来るわけじゃねぇんだぞ。」
「分かってるよ、そんくらい。」
「それに、部活中は俺だってお前の相手ばっかしてやれるわけじゃねぇし…。」


ピコピコ、カチカチ。
テレビから流れる機械音の隙間から、淡々と発せられる一也の言葉に、なんだか苛々してくる。
しかも結構重要な話な気がするのに、こっち向こうともしないから、少々大げさに、バンッと大きな音を立てて漫画を閉じた。でも一也はそれを一瞥しただけで、また視線はテレビへと戻る。


「分かってるよ、そんなこと!!俺は青道のマネやって、一也たちと一緒に甲子園に…、」

(そのためにわざわざ受験勉強死ぬ気で頑張って、青道合格したんじゃん…。)


なのに、なのになんでそんなこと言うのか。
しかも、もう既に合格発表も出て、もうすぐ入学式を目前に控えたこんな時期に。
意味わかんねーし。…っつーか!


「こっち向けよ!バカ!!」


近くにあったティッシュの箱を思わず引っ掴んで、そのまま勢いよく投げてやったら、バコンッて爽快な音がして、一也の顔が前にちょっと倒れた。


「ってえな!!何する、栄…っ」


ぐるっと振り返って、後頭部を擦る一也が、思わず上げた大声を何かに気付いたようにハッとして突然言葉を止める。
その後、ぎょっとしたように開かれる両目。その背後でなんか画面からすげぇ音がしたけど、もう一也は背を向けなかった。
暫く黙った後、バツが悪そうに頬を掻く。


「…あー…、悪かったよ。」


泣くなって。
そう言われて、自分が泣いてるのに気付いた。


「うう…っ、だって…一也…突然変なこと言うから…!」
「泣くなよ…悪かったってば…。」
「うー…!!じゃあ、なんで、そんな、いきなり変なこと言うわけ…!?」


受験勉強頑張って、一也にも教えて貰って。合格決まった時には一緒に喜んでくれて、絶対一緒に甲子園いこうなって言ってたのだってつい最近のことなのに。

1つ年上の幼馴染の一也とは小さいころからずっと一緒だったけど、一也が高校で青道に入って寮に入ってからは殆ど会える時間なんかなくて。
だから、一緒に居たくて、すげえ頑張って。
これからはまた一緒にいれるんだって、嬉しかったのに。なのに!


「一也のバカ!」


そう思ってたのが俺だけだったんだ、と思ったら、なんかむかつくっていうかいっそ悲しくなってきて、でもそれを上手く言葉に出来なくて、短絡的な言葉を放つ。
ありったけの思いを込めた“バカ”は、困ったような顔をしてる一也に思いっきりぶつかって、そのままふんっと鼻を鳴らして顔を背けた。


「…栄純。」
「…。」
「えーじゅんってば。」
「…ふん。」
「あのさ、…だから、違うんだって。」


声をかけてくる一也から、ツン、と顔を背けていると、こっちを探るみたいな変な声が聞こえる。
それをチラリと見たけど、でもまた顔を逸らした。


「…何が。」


自分でも想像以上に硬い声が出てびっくりしたけど、なんとか飲み込んで、唇を尖らせることで誤魔化す。


「…別にお前に青道に来て欲しくないとか、野球部に入んなとか言ってるわけじゃねーよ。…でも、さぁ…。」
「でも、何?」
「…お前、野球好きじゃん?」


ゆっくり。何かを考えるように明後日の方を見た一也が、あー…なんて歯切れ悪く言葉を詰まらせながら、妙に間延びした語尾も付随した声を漏らしつつ、ぽつ、と小さく呟いた。
…は?


「好きだけど。」
「…で、野球やってる奴には、無茶苦茶興味もつじゃん。」
「えー…?そうか?」
「そう。…そんで、ウチってまぁ、皆それぞれいろんな意味でデカイわけで、さァ…。」


さすさすと、さっきティッシュぶつけた辺りを擦りつつ、一也が苦笑する。


「お前が俺以外のこと気にしたりすんのが、なんか面白くねぇなと思って。」
「……そんだけ?」
「そう、そんだけ。」
「馬鹿じゃん。」
「まぁ、そうですね。…でも俺にとっては結構な問題なの。」
「……心配しなくても、いいのに。」
「ん?」
「俺は、一也のこと追いかけて青道に行くんだから。」
「えい、」
「だから!!心配することなんか何もねーし!俺は青道に行くし、マネもやる!!これ絶対!」


一也が何か言いたそうな言葉を区切って、宣言。
すげぇ恥ずかしいこと言った気がしたけど、気にしない。うん。細かいところは無視無視!


「だから一也は気にせず野球だけしてろ!」


言い放った言葉は、勢いを落とすことなく、真っ直ぐ一也にぶつかる。
すると、呆けて居たはずの一也の瞳に、一瞬で深い色が戻ってきて、にやりと口元が歪んだ。


「…誰に言ってんの。」


余裕綽々。不敵に微笑む顔に、思わず俺も笑って。


「俺を幻滅させんなよ?ほら、俺って野球やってるやつに興味深々らしいから?」
「…言うねぇ。」
「ふふん。」
「他の男になんて目移りする暇ないくらい活躍してやるよ。」
「うーわ、ムカツク。未来の先輩たちに言いつけてやろ。」
「お前ね、一応俺も先輩になるんだからな。」
「……ハイハーイ。御幸一也センパイ。」
「……勉強泣きついて来ても見てやんねぇぞ。」

ほら俺、野球だけやってればいいらしいし?


そう言って笑う顔に、今度は俺の方が言葉に詰まる。…くそう、ムカツク!


「…すみませんでした、一也サマ。」


棒読みで落とした言葉をスタートに、じゃれあいが始まる。

アンタたち煩い!と母親の声が飛ぶまで続いた相変わらずの取っ組み合いは引き分けというところで。




もうすぐ春がやって来る。







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あんず様からのリクエストで「学年は原作のままで男女の幼馴染御沢」でした。
…あれ…栄純青道に入学してな…(ごふ
部屋でナチュラルにイチャイチャしてる男女御沢も可愛いなぁ…と思いながら楽しく書かせて頂きました(ノω`*)
これから高校に入っていろんな人と出会って、いろいろあって二人の関係も変わっていくんじゃないかなと勝手に妄想しています←
いいですよ寝幼馴染いいですよねえへへ!

あんず様、素敵なリクエストありがとうございました!少しでも楽しんで頂けたら光栄です…!
大好きです(´∀`*)







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