ご主人様とイヌ | ナノ
subspecies
「調子に乗んなよ、バカ犬」
  「ごしゅじんさまのためなら、ば」


御幸様×瞳孔栄純のおはなし。
どM向け仕様の御幸様と
     敗北主義者の瞳孔君。

生みの親*秋人要様

  + 愛らしい御幸様bot、瞳孔栄純bot



(4)すとろべりーしょーとけーき



「…どーして…?」
「…いらねぇなら、ひとりで食うけど。」
「…!?いる!いります!!」
「なら初めから素直に言え。バカ。」


差し出された、真っ白の三角。
上に乗るのは、やっぱり三角形。だけどその色は、炎みたいに真っ赤なさんかっけい。
乗ってるものと同じくらい、真っ白な円盤の上にちょこんと乗ってるのは、大きな大きな苺の乗った、ショートケーキ。
きらきら。きらきら。
宝石みたいに、紅い苺が上で光る。


「ほ、わ…あ。」
「なんだよその声。」
「だ、だって!びっくりしたんです、よ!」
「たまには飴立って必要だろ。」
「……うれしい、です…。」
「あ、そう。」


返答こそ、そっけないものだったけれど、いつもだったらどっかに行ってしまうごしゅじんさまが、俺の隣に座ったままでていてくれるだけで、いつもとやっぱりなんだかちょっと違う。

…いいことでも、あったのかな。


「…そういえば、」
「あ?」
「ごしゅじんさまは、食べないんですか。」


お皿の上には、ケーキが一つ。
でも、俺とごしゅじんさまは、ふたり。
首を傾げたら、一瞬目を見開いたご主人様が、次の瞬間小さく笑った。

(…あ。やっぱり、なんかいいことあったんだ。)


「お前って本当、頭悪い犬だよなァ。」
「え?」
「だまってりゃ、ケーキ一人占めだったのに。…ぜってぇ、損ばっかして生きるタイプだな、お前。」
「だ、だって…!」


隣に座っていたごしゅじんさまの手がケーキに伸びて、それを、躊躇いもせずに右手でぐっと掴んだ。


「は、ぐ…!?」
「こら。手まで食うなよ?」


ごしゅじんさまの笑い声と一緒に、口の中に広がるあまさ。
舌の上で溶ける、まっしろなクリームの、とろりとした甘美なあまさと。


「うまい?」


目の前で微笑むごしゅじんさまの甘い声と顔に、俺は思わず息をするのも飲み込むのも忘れて、小さく頷く。






(だってほらやっぱり。いっしょのほうが、 ずっとあまい。)




05






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