01
それは、目を醒ました。
長い、とても永い時の中、眠りについていたそれの、閉ざされていた目蓋が開かれる。顔を出したのは金の瞳。ヒトのそれとは違う、異質なものだ。目はある一点を凝視する。その視線の先には、本を読んでいる一人の少女がいた。

――見 ツ ケ タ

翼が風を切る。それと同時に少女の手から本が離れた。軽い音を立てて本が床に寝そべる。その音に呼応した風に、少女の姿が掻き消えた。まるで、最初から存在していなかったかのように。金色の目もまた、消えていた。

一枚の鱗を残して。


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