07
ピピピ、と無機質な機械音が路地に響いた。無線ゴーレムに通信が入ったのだ。コートの胸元を(くつろ)げると、黒い涙型のゴーレムが飛び出してきた。原作で出てきたものの中で一番可愛かったのでそれにした。ラビとお揃いだというのは公然の秘密だ。


〔黎音くん、今いいかい?〕

「喋った? なんなんですかコレ?」

「電話みたいなもんだよ。はいはーい、ご用件をどうぞ」

〔誰か居るのかい?〕

「お気になさらずー」


そういえば、私たちエクソシストが持つ無線ゴーレムを本部に繋ぐ場合、持ち主本人の声紋以外は通話出来ないのだった。アレンの声は入っていないのだろう。


〔任務帰りで疲れてるのにごめんね。
 そこから西の、町外れの方で、大量のアクマが目撃された。キミにはその破壊をお願いしたい。キミが一番近いんだ。お願いできるかな?〕

「了解。すぐ行くよ」

〔ごめんね〕


謝罪の言葉を期に、通話が切れた。謝らなくても構わないのに。私はアクマを破壊する為にあるのだから。


「それじゃ、私はそっちに――」


行くね、と続くはずだった言葉は爆音に遮られた。そう遠くはない。音がした方角を見れば、煙がもうもうと立ち上っていた。あっちは西――コムイが行っていた町外れの方だ。


「うわ、ヤバ」

「僕も手伝います」

「いや、アレンはジャンの面倒を見ておいて。どうせ気になってるでしょ」


少し躊躇った後、彼は頷いた。よかった、物語を変えることにならずに済んで。しばしの別行動だ。集合場所を適当に決め、その場を後にした。


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