05
「アクマだ――――ッッ!!」


寝起きでうつらうつらとしていたところに、少年の大絶叫が聞こえてきた。私は目覚まし時計のベルが鳴る度に驚く性質(たち)なのだが、それ以上にびっくりした。


「アクマだぞ、殺されるー!」


どこからだと耳を澄ませていると、丁度通り掛かった小路の奥から、またしても同じ声の叫びが上がった。


「乗せてくれてありがとう!」

「置いてくなー。ありがとーございました」


早速馬車を降りたアレン。ジャン編突入か、と思いつつ、トランク片手に彼を追う。それにしても速いな。トリップの影響で身体能力が上がっている筈なのだが、追いつけない。やっとアレンを見つけたかと思ったら、男たちが丁度立ち去るところだった。


《(アクマ一体)》

「知ってる知ってる」


アレンの左腕が、ホームレスのカタチをしたアクマを破壊する。


「ジャンくん、だっけ? キミ、アクマのことやたら詳しそうだけど、何者だい?」


手袋モドキの留め具をつけながら、ジャンを問い質す。だが彼はそれどころではなかったらしい。興奮した様子で奇声を発しながらアレンに抱き着いた。それはもう、物凄い速さで。


「エクソシストだ、初めて見た! 今の対アクマ武器ってやつ? よく見せ……あれ?」

「残念、死んでる」

「い、生きてま……」


ごふっと血を吐くアレン。その状態は生きているとは言わない、死にかけている、だ。


「アンタは? コイツの仲間? エクソシスト!? すげェ!」


いや、まだなにも答えていない。


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