03
ガラガラと、サーカスの一座が煉瓦造りの道を行く。歩いて戻るには距離があるので、乗せて貰うことにしたのだ。
「ふんふん、クロス元帥の弟子ねー」
とりあえず我に返ったアレンに事情を聞いた。全て知っていたが、一応だ。
「あの人の弟子とか、よく生きてたね」
「え、知ってるんですか?」
「いや、知らないよ。でも教団内は噂で持ちきりだから」
アレンは何とも言えなさそうな顔だ。口の端が引き攣っている。よほど嫌な思い出しかないのだろう。
「あの金色のがクロス元帥の代わりかー。大丈夫なの?」
ティムキャンピーは呑気にも、ふよふよと煉瓦の隙間から生えた花にじゃれついている。大きさ的にも、飛んでいる高さ的にも、野良猫に襲われそうだ。
「ティムキャンピー、あんまり飛び回るなよ。こないだみたいに猫に喰われたらどうするんだ」
「え〜!? 猫に喰われちゃったの〜? よく助かったわねェ」
「その猫のお墓から出てきたんです」
「へ?」
「イギリスには観光で? 旅人さん」
いつの間にやら丸々としたピエロが口を挿んできた。そんなピエロを押し退け、バニーガール、基、ヨッシーガールのお姉さんが会話に入ってくる。
「いえ、ちょっと、挨拶しに行くんです。エクソシストの本部へ」
「私は帰るところでーす。ちょっと休んでもいいですか?」
「いいわよー。毛布いる?」
「頂けると有難いですー」
奥から毛布が飛んできた。それを受け取り、くるまる。まだ日はあるのだが、イノセンスを使った後は眠くなるのだ。イノセンス使用の疲労は、私は空腹を感じるのではなく、睡眠欲として現れるらしい。
「そんじゃ、お休みー」
「はい、お休みなさい」
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