02
《(黎音)》

「はーい」


突然頭の中に響いた雷閃の声に、呟くように返事する。ぞろぞろ背後をついてくる気配は、人間のそれとは違う。人気のない広場まで移動して、後ろを振り返った。そこに居たのは何の変哲もない人が2、3人。だが気配はそれ以上ある。団服の胸に縫い付けられているローズクロスに喰いついたのだろう。自分達が釣り上げられる魚だと知らずに。ゾンビの如く体を左右に揺らしながら近づいてくる、人の皮を被ったアクマ。その様子からして、レベルは1か。


「――発動!」

「んー?」


アクマが目の前に差し迫ると、聞き覚えのある声がした。と思った瞬間、目の前のアクマが爆発する。


「おお」


突然壊れるものだからビックリした。爆風から庇うようにして立っているのは。


「怪我はありませんか? って、エクソシスト?」


我らが主人公、アレン・ウォーカーの登場。コーカソイド特有の白い肌の中、左頬に走る赤い傷が目立つ。


「見ない顔だ。新人?」

「いえ、僕は――っと!」


アクマの放った弾丸が此方に向かってくる。アレンは左腕で受けようとするが、その前に雷撃を放って灼き落とした。

「まったく、せっかちだなー。まず壊しちゃおうか」


イヤーカフスの飾りを外し、巨大化させた。


「“堅守”」


私とアレンを囲むように、雷の壁が作られる。次いで、鎌の長柄の先を地面に突き立てる。それに応じ、私達を囲むだけだった壁は瞬間的に広がり、周囲にいたアクマを掃討した。


「はい、終わり。そんでキミ、詳しい話を――おーい?」


ぽかんと間抜け面で放心するアレンの目の前で手を振る。デコピンをしてやったら一瞬にして我に返ったようだった。あれくらいで驚くなんて、この先大丈夫か?


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