03
もう何度目かわからない雷撃を、なんとか的に当てようとしていたとき。誰かが入ってきた気配がした。入口の方に目を向ける。立っていたのは神田ユウ。森で鍛錬するのではないのか。本誌では森に居たから、来るとは思わなかった。
「おはよー、神田」
話しかけたらあからさまに嫌そうな顔で舌打ちをされた。酷い。
「……何してんだ」
「練習。使い慣れなくって」
立てた人差し指の先から稲妻が
迸る。数時間前に比べれば、大分コントロールできるようになってきた。だが、先程出した雷球よりも威力が上がらない。シンクロ率の問題だろうか。何にせよ、まだ実戦では使えなさそうだ。
「おい、チビ」
「ち、チビとはなんだ!」
心外だ。これでも同年代では身長はある方。なのにチビとはなんだ、チビとは。ブツブツ文句をたれていると、神田が六幻を抜刀する。
「構えろ。昨日の続きだ」
昨日の。中断された戦闘か。神田が相手。相手に不足はなし。懸念があるとすれば、私の中の――。
「いーよ、のった。そのかわり、私が勝ったら名前覚えてね」
鎌を手にする。自分の身の丈ほどもあるそれは、重さを感じさせない。両の手で柄を持つ。刃を後ろに引き、重心を下げる。
「それじゃ……始めようか」
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