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雷閃は、私の好きな時に雷を操れると言っていた。イノセンスを発動していない状態で、技を出す。そんなこと、聞いたことがない。本当かどうかを試すべく、修練場に来た。半信半疑のまま手の平を前に突き出す。そしてそのまま固まった。

技を放つ時には大抵技名を言うのが定石だ。そしてその技名は、自分が考えると言うよりも、イノセンスが『教えて』くれる。

だが、雷を出そうにもその技名が思い浮かばない。どうすればいいのだろう。


「サンダー……とか、適当に言えばいいのかな」


サンダー一言だと味気ない。詠唱が欲しい。実戦でやればただの隙にしかならないのは承知の上だ。しかし有った方が格好いいだろうが。

厨二病? 知っている。むしろ現役の中学二年だ。

適当にRPGからでも持ってくるか。この際著作権なんて気にしない。呟くようにして、思い浮かんだ呪文を唱えてみる。


「灼きつく閃光――」


――バチィッ!


「う、わ!?」


思う以上に威力のある稲妻に、素っ頓狂な声が出た。

最初なのだから、静電気程度の微弱なものが出るかと思った。予想は外れ。突き出した手の平を覆うように、サッカーボールほどの大きさの雷球が出来た。それは形を留めることができず、すぐに四方に霧散してしまったが。熱も痛みも感じなかったのは、術者だからか、はたまた雷を操るイノセンスの適合者だからか。
それにしても、雷閃が遊ぶように出していた雷の龍は、思う以上に難しいことが分かった。イノセンス自身だからこそ、あそこまで綺麗に形作れるのだろう。

目標が決まった。雷閃に近いコントロールを身につけること。そうと決まれば練習だ。まずはこの雷に慣れよう。


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