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また、夢の中で。あの言葉はこういう意味か。眠りについたと思ったら、またあの灰色の世界にいた。前に雷閃が立っている。


《昨日ぶり。どう、楽しかった?》

「うん、面白かったよー。というか、本当だったんだね。本当にトリップしちゃった」

《だからそう言っただろうが》


苦笑を滲ませる雷閃の背には、龍のような翼が。彼の髪と同じ、金色の。沈黙が場を支配する。不快ではない。むしろ、いい機会だ。かねてからの疑問を口にした。


「ねぇ、雷閃は、私のこと知ってて適合者に選んだの?」

《何のことだ?》


とぼけた振りだ。彼が気付かない筈がない。


「私の、破壊衝動のこと」


それは、神田と戦っていた時。それは、コムイと会話した時。私の持つ、狂気。下手をすれば他人に向けたくなるそれ。どちらかといえばノアが持つそれを知っていて、雷閃は私を選んだのだろうか。


《さあ? どうだか》


答えをはぐらかされる。言いたくないのならいい。無理にきく必要もない。

暇そうにはためかされた翼。雷閃の手の中で、雷が小さな龍の形を描く。疑問が口をついて出た。


「ねぇ、どうして人の姿をしているの? 本当は龍の姿なんでしょ?」

《この姿? 人は異物を(はい)したがるだろ。人と居るのなら、人の形をとった方がいい。それだけじゃない。この姿は何かと便利だしな。動き易く、話し易い》


それに、と手の平を見つめ雷閃は続ける。先程とは打って変わり、哀愁を帯びた目で。


《これは、前の戦争で、オレの適合者だった奴の姿だ。恐らく人の記録の中には残っていない。けど、気に入ったから》


彼が姿を映している、前の適合者とは、一体彼にとってどんな存在だったのだろうか。それを映している彼の心境は。好奇心が騒ぐ。だが、何故か聞いてはいけない気がした。


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