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「黎音くん。キミは、この聖戦に直接的な関わりはない。聖戦どころか、この世界自体に関わりがない。ただイノセンスが選んだだけ。それだけだ。それなのに、どうして一緒に戦ってくれるんだい?」
コムイの言うことはもっとも。この世界の人間ではない私には何の利もない。エクソシストが勝とうとも、伯爵が勝とうにも、私には関係の無いことだ。
「ただの、気まぐれです」
そう、ただの気まぐれ。帰るには、聖戦が終わらないと帰れないから。それだけだ。ただし――先程戦った兵器の姿が頭を
過ぎる。千年伯爵が作った、哀れな兵器。人から作られ、人から忌まれる、人を殺す、人が壊すべきもの。
「強いて言うなら……アクマは、壊してもいいものでしょう?」
「え?」
なんでもないです。そう口にすると、困惑しながらも話を変えてくれた。
「それじゃ、イノセンスの説明をしようか」
「あ、大丈夫です。雷閃から聞きました」
「そうなんだ。いやあ、説明する手間が省けたよ! 毎回毎回面倒なんだよね〜」
いいのか、それを言って。
「じゃ、キミの部屋とか教団内とか見て回ってね。案内は、ボクの妹、リナリーに任せてあるから」
「わかりました」
妹居るんですか、とか、そうは触れないでおこう。シスコンによる自慢話が長々と始まりそうだ。
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