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「さて、ヘブラスカ。黎音くんの預言を聞こうか」

《いつかお前は、夢と現の狭間で迷い人となり、選択を強いられる時が来るだろう。それを拒まず、受け入れろ……。道標はおのずと訪れる……。選択で得た力は、〈監視者〉として、伯爵にとっても、教団にとっても、大きな存在となるだろう……》


夢と現。それはこの世界と元の世界のことだろうか。その狭間で迷うとはどういうことだ。しかも、選択を強いられる。元の世界に戻るか、この世界に留まるか。その選択だろうか。だがそれを拒まず受け入れろ、だと? つまり、選択と言っておきながら一択しかないということではないか。いや、受け入れろとのことだから、拒めば回避できるのか。
受け入れる。それは得意だ。しかも、その後に力が得られるのなら、尚更。受け入れないわけがない。

ただ、選択で得た力が両者に大きな存在となるのなら、夢と現はこの世界と元の世界ではないだろう。でなければ、元の世界に戻る、という選択を受け入れた時に、この預言は破綻する。ならば他のことか。駄目だ。わからない。思い当たる節がない。


「凄いじゃないか。ヘブラスカの“予言”はよく当たるんだから! 黎音くんには期待できそうだね」

「その期待に添えるよう頑張ります」


苦笑しつつそう答えると、コムイが目を伏せる。何か気に触るようなことでも言っただろうか。首を傾げると、重々しく口を開いた。


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