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エレベーターに乗り、下へ下へ。ここの科学力も凄いものだ。元の世界ですらないようなものが存在するのだから。
吹き抜けを中ほどまで降りたところで、エレベーターが止まった。辺りを見渡していると、しゅるりと、背後で何かが解ける音がした。振り向いたときにはすでに遅し。幾つもの白い手が、身体を拘束していく。
「ッ……、コムイさんッ!?」
「どうだい、ヘブラスカ。このイノセンスはキミのお気に召すかな?」
手が耳の飾りに触れ、額に触れる。そこから、『入って』きた。思わず目を見開く。痛みは無い。ただあるのは不快感だけ。探るように、確かめるように。体内を
蹂躙するそれに、イノセンスを発動しかけた。
《17……46……61……73!》
雷閃と同質の声が響く。と同時に、触手のような手から解放された。すかさず。
「……コムイ。一発蹴っていい?」
「もう蹴ってるじゃないかー。というか、そっちが素かい?」
「違うけど、そうだったら何だ! 蹴られろ畜生!」
「だって、ずっと堅苦しい喋り方だったからね、緊張しているのかと思って。素なのはいいけど、女の子が暴言吐くのは感心しないなー」
「あれは上司相手だからでしょうがあー! それにいつもは暴言吐きません!」
もういい、決めた。コイツに敬語なんて使わない。敬う必要なんてない。だが、悲しいかな、上下関係に敏感なのが国民性だ。こればっかりは直そうにも直せない。
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